構造規模 未定
施工会社 未定
竣工予定 未定
O邸新築工事/さいたま市
ベーシックブレッド
現場の帰りによく寄るパン屋さんがある.
たまたまそこのパンを買ったら,とてもおいしかったからだ.
そのパンは定番ということなのだろう,ベーシックブレッドという名が付いていてそのパン屋さんでも一番安く,売れ筋の商品らしい.やがてそのパンを買って帰ると奥さんの機嫌が良くなるくらい,我が家では定番のパンとなった.
何度かそれを買ったあと,今度は少し欲を出してみることにした.
プレミアムブレッド,そのお店で一番高い商品である.
なんといっても一番安いベーシックブレッドがこれだけおいしいのである.プレミアムといったら・・もう想像するだけですごいことになるではないか!しかも,値段も100円も違うのだ.でも買える.(大人で良かった!)
思いきり期待して一口食べてみる.
ムムッこれは!さすがにおいしい.
ところが・・
結末は思いがけなかった.食べ終わって,奥さんと同時に発した言葉は
「ベーシックの方がおいしかったね」だった.
プレミアムには”どや感”があるのだ.普通よりいい材料たくさん使ってます.普通より手間かけてます.すべてにおいて最高を追い求めました.ねぇ,すごいでしょ?おいしいでしょ?ね?ね?
うるさいよ,もう.
私は何も主張しない普通がいいなあって思ってしまう.
だって毎日食べるものでしょ?たまにスペシャルがあってもいいけれど,毎日食べるとしたら,私は断然ベーシックだ.
これは我々も仕事で陥りやすいワナだと思う.
普通よりいい材料たくさん使ってます.普通より手間かけてます.すべてにおいて最高を追い求めました.ねぇ,すごいでしょ?格好いいでしょ?ね?ね?
うるさいよ,もう.
そういうんじゃなくていいから.普通でいいから.
でもね,私たちは近所のコンビニのパンじゃ嫌なんです.
顔の見える職人さんが,精魂込めて作った”普通のおいしいパン”が食べたいんです.それだけなんです.
そして,そういう家に住みたいと思っているんです.
G邸新築工事/さいたま市
構造規模 未定
施工会社 未定
竣工予定 未定
S邸新築工事/世田谷区
構造規模 未定
施工会社 未定
竣工予定 未定
青焼きって
若いスタッフに,「青焼きっていいますけど,一体どうやって焼いてるんですか?」と素朴な質問を受けた.そうか,設計事務所のスタッフももはや青焼きを知らない世代になってきたということか.
私が設計事務所に入所した頃は,まだ事務所も手描きが主流だった.トレーシングペーパーに線を引いたら,感光紙と重ねて感光機にかける.皺がよった図面などは,ローラーによく巻き込まれて大変だった.メリメリッという断末魔のような音が聞こえたら,すぐに感光機を止めないと大変なことになるのだ.
そしてここからが一番嫌な作業なのだけれど,筒の中に入れて,その下のアンモニア原液の蓋を厳かに開ける.もちろん息は止めたまま.それでも揮発した原液のせいで目はちかちかするし,手に傷があったりするとそこもピリピリと痛むことになる.今考えてもあれは大変な劇薬だったのだろう.
それまでクリーム色だった感光紙は,揮発したアンモニア原液で”焼かれて”ブルーの線が浮かび上がる.図渡しの前日などはもう大変だった.先輩スタッフが最後の追い込みで描き上げた原図を,片っ端から青焼きを繰り返してゆく.眠さとアンモニア臭で意識は朦朧・・.今のようにワンクリックで何枚でも出力できる時代が来ようとは夢にも思わなかった.
・・なんて話をしていて,はっと気づいた.
自分とした事が,なんだか大昔の話をしているみたいだ.
実際スタッフは「へぇ・・」という感じで,「お父さんが子どもの頃はな」と終戦直後貧しかった時代の話に付き合わされてるみたいな空気になっている.
ちがうちがう!そんな昔の話じゃないんだって.ついこの間の話なんだって.
つまり,えっと15年前とか,20年前くらい?だからつい最近の話なんだって.
「つまり僕が幼稚園か小学校に上がったくらいの話ですね」
今の子にとっては十分に大昔の話だったようです.
モルタル
外壁のモルタル下地が仕上がったのを見ると「あぁ,いいなあ」といつも思う.モルタルの色って質素でなかなか素敵だ.私が外壁にライトグレーを好むのは,どこかモルタル仕上げに対する憧れがあるんだと思う.
以前とある住宅を見学させて頂いたのだけれど,その住宅の外壁はモルタル仕上げだった.おっ!と思ったのだけれど,住まい手の方は「建築家の先生が現場でモルタルのままがいいと言って変更してしまった.いまだに完成していないみたいで恥ずかしい」とおっしゃっていた.
う~ん,やっぱ建築家の嗜好って世間とズレてんだっていうそんな話.モルタルさんさようなら.隠れキリシタンのように,今回も私はライトグレーを吹くことにします.
HANG CAFE
そして,なぜここに?というひどく辺鄙な場所にあります.
土日しかやっていません.しかも今年は今日が仕事納め.
来年はいつからやるか,まだわからないそうです.
ここに行く時は事前に念入りに調べて行くのです.
そして,そんな人でいつもお店は満席なのでした.
ここはオーナー自ら内装工事までやっています.
その超絶的なセンスに,私はいつも鳥肌が立ちます.
カフェオーナーにここまでやられたら,
我々の出る幕などあるはずがありません.
サイトに写真はありますが,実際の空間の方が素晴らしいです.
HANG CAFE
http://www.hang-cafe.com/
設計事務所とハードル
よく設計事務所との家づくりという選択肢がもっと広まれば良いのにという声を聞く.もう少し言うと,設計事務所との家づくりが世の中の家づくりの主流になるべきだと考える人もいる.でも,私はそうは思わない.設計事務所に設計を頼むという選択肢は,これまで通り少数派で良いと私は思う.
そんなことを言うと,関本さんのところは仕事がいっぱいあるからそんなこと言うんでしょう?と疎まれるかもしれないけれど,仕事があろうとなかろうと,それは関係ない.
一言で言えば,設計事務所に頼もうという人は設計事務所にしか頼まないのだ.私はそう思う.ハウスメーカーやその他の選択肢で満足する人は絶対に設計事務所には頼まないし,頼まれてもお互い不幸になると思う.
もしかしたらその逆もあるかもしれない.設計事務所でしか満足できないのに,ついうっかりそれ以外の選択肢を選んでしまった人.こういうミスマッチに気づけなくて不幸になるパターンは,家づくりに限らず,結婚就職その他,いろんな場面であるだろう.
でも私はそういう人は救えないし,救おうとも思わない.残酷なようだけれど,うちのクライアントの真摯さ,まっすぐさを思うと,その方達は家族や自分の人生と向き合う真剣さに欠けていたのだと思わざるを得ない.
設計事務所に辿り着くまでには,程よいハードルが必要だ.意を決して飛び込む.そのくらいでちょうど良いと私は思う.飛び込むためには覚悟が必要だ.覚悟もしないで,大事なことを安易に決めるから間違いが起きるのだ.私はそう思う.
コーヒーからはじまる
幸せな朝にコーヒーがあるかは定かではないが,おいしいコーヒーからはじまる朝は間違いなく幸せである.私の場合.
コーヒーをなめてはいけない.正しい手続きで淹れたコーヒーはおいしい.これはもう人生の真実というくらい間違いないのである.正しい手続きとは,沸かしたてのお湯を,挽きたての豆に落とすことにほかならない.
人によっては沸かしたてはよくない,およそ95度が適温云々というのがあるらしいが,そんなことはどうでもよい.私にとって大切なのはむしろ豆なのだ.それも挽きたてであること.だから毎朝豆を挽く.
挽きたての豆にお湯を落とすと,豆がシュワシュワッと炭酸のように膨らんでゆく.これはあらかじめ挽かれた状態の豆と比べれば一目瞭然.挽かれて時間の経った豆は,お湯を注いでも全く膨らまない.いつまでたってもぺちゃんこ.いじけてヘコんだクレーターがそこに出現するのみである.味も全然違う.これはもう同じ豆でもこうも違いますか,というくらい.
そして分量である.お湯も豆も,計量カップやスプーンで正確に測る.しかしそこは素人だから,その日の気分や,豆のいびつさ,表面張力分くらいの違いでお湯や豆の量なんて変わってしまう.するとどうだ.変わるのだ,味が.本当に変わる.こだわりのラーメン屋が言うところの「お湯の一滴でスープは変わる」は本当なのだ.
毎日のことだから,今では私もカップに注いだ瞬間にわかる.光を透かした色で,「しまった,今日のは薄い」とか「今日のはイケる」という具合に.そして毎朝一喜一憂する.
私の朝の10分は,欠かさずこの手続きのために費やされる.毎朝二人分のコーヒーを淹れる.何日かに一度,これはもう奇跡のようにおいしいコーヒーが入るときがある.その時の幸せ感と言ったら!
おいしいコーヒーからはじまる朝は間違いなく幸せなのだ.
これはもう人生の真実というくらいに.
クロスワードパズル
いつだったか新聞の広告で,アイスクリーム協会のクロスワードパズルの懸賞があった.子ども向けで面白そうなので,やってみたら?と勧めたら,本人もその気になって真剣に解きはじめた.(といっても,アイスの商品名を埋めていくだけで簡単に解ける)
当たるかなあ?
そう言いながら,そのまま投函しようとしている息子に声をかける.
「当たる確率を上げる方法を教えてあげようか」
いいか,そのまま出したらだめだ.どうしても当てたかったら,その思いが伝わらなくてはならない.見て見ろ,余白があるだろう?ここにはアイスの絵でも描いたらいい.そして願いを込めてポストに投函する.わかった?
その絵がまたイイ味出してまして.
写真撮っておけば良かったと今では後悔しています.
だって,ほら.
ニアミス
今日は友人建築家,布施木綿子さんのオープンハウスへ.彼女は大学の同級生でもあります.
学生時代から彼女とは研究室も同じ,同時期にアトリエに就職し,同時期に退職し,同時期に海外に出て,同時期に独立しました.私の住宅に欠かせない造園の湊さんも彼女の紹介でした.彼女は私にとって最も大切な親友であり,同じ道を歩む同志でもあります.
今回の住宅は日野市豊田.そう,つい最近まで私がやっていた「トンガリの家」の現場の近くなのです.もちろんこちらの造園も同じく湊さん.そして今現場をやっている「西荻の家」のすぐ近くでも彼女の現場が進行中.しかも同じ工務店の同じ監督が見ているという・・。
過去には私のクライアントの,妹さんの家を彼女が設計したなんてこともありました.はたまた,クライアントが私以外に検討している建築家がたまたま彼女だったり.なんというニアミスぶり.私の領域(テリトリー)に入ってこないで!とは彼女の弁ですが,いやいやそっちこそ.
こうして彼女とは,この先も腐れ縁が続いてゆくのでしょう.
FP・まだまだではありますが・・
川越で進行中の現場,FPの足場が外れました.
ギングロはよくあるのですが,黒の板金を使ったのは初めてです.クライアントも悩みに悩み,”川越らしさ”の表現として最終的にこの色を選ばれました.正解だったと思います.とても存在感があって,何か荘厳な感じすらします.
クライアントがこだわられた点がもう一つあります.それは板金が持つ”べこつき”です.ほとんどのクライアントは「なるべく”べこつき”がないように」とおっしゃいます.ところがこのクライアントたってのご希望は,「なるべく板金ならではの”べこつき感”を出して欲しい」ということでした.
今回とても腕の良い板金屋さんだったこともあり,「べこつかせてくれ」と要望を出すのがどれほどの無茶振りであったことか.悩んだ末に板金屋さんが出してくれた提案は,板金材の厚みを薄くするということでした.通常0.4mmの材を使うところを0.35mmに落とし,あとは通常通り張ってもらいました.
この板金屋さんの神業のような仕事と相まって,この表面に表出した自然な”べこつき感”.雑な仕事によるべこつきではなく,無駄のない仕事が織りなす最高の?べこつき.板金仕上げにおける,究極のツンデレ表現と名付けたいと思います.
ところでこの住宅,中庭住宅のため,外部に大きく開いた窓が少ないことが外観に不思議な印象を与えています.あともうひとつ不思議な印象を与えていることがあります.それは「低さ」です.
この住宅は最高高さが,わずか5.6mしかありません.室内の過半の天井高は建築基準法で定められた最低天井高である2.1m程度に抑えられています.2階の階高は実に2.4m.驚異的な低さです.普通の住宅なら,勾配屋根の一番低いところで最高高さが決められているようなものかもしれません.
これもローバーミニや,フィアットパンダといった小型車を愛するクライアントの美意識によるものです.かくいう私も地を這うように低い空間は好みでもあり,おのずとクライアントとの合言葉は「低く,低く」となりました.
◇
ところで,外部の足場は外れましたが,内部はまだまだ・・
内部の大工さんはなおも丁寧に丁寧に仕事を続けて下さっています.
今日現場に行くと,バルサ材で見慣れないパーツを作っていました.何かと思えば木栓.今回収納部は原則としてシナベニヤによる大工造作になるため,ビス頭を隠すために木栓をするのですが,普通の木栓だと色が濃いのでその栓が目立ってしまいます,なるべく目立たないように,と私が言ったこともありますが,バルサ材をカッターで削り出し,ビス穴に合った木栓を黙々と作っていたのでした.(ちなみにこの大工さんの趣味は,航空模型づくり)
工程遅延・・工程遅延・・・
私の頭の中でエンドレスリピートが止まりませんが汗,この大工に気が済むまで仕事をさせなくてはいけないという使命感すら覚えてきます.証拠にどこにビスを打ったのか注意して探さないと見つからないほど.クライアントにはご迷惑をおかけしていますが(滝汗),じっくりと本物の仕事をして頂きたいと切に思うのでした.
西荻の家・こちらもこれからが佳境です
昨日に続き,年末の現場行脚が続いています.こちらは「西荻の家」.こちらもようやく足場が外れました!穏やかな色味の左官外壁です.
・・ちょっとこぼれ話をすると,本当は一部を左官,それ以外はコストを考え吹付け仕上げにしていたのですが,現場のミス,もとい計らい?により全面左官仕上げとなりました.もともと左官仕上げを望んでおられたクライアントにとっては,ちょっと嬉しいハプニングでした.
外壁の一部には木(レッドシダー)を張っています.これも「延焼の恐れのある部分」という防火制限のかかる範囲を絶妙に避けて実現した部分でもあります.木と左官の組み合わせ,とってもイイ感じです.
こちらも中庭住宅.中庭をコの字に囲んだセミクローズドな庭が特徴です.実のところまだまだでして,足場は外れたものの,これから先も外部には様々な要素が付加されてゆきます.私としてはそれらが取り付き,最後中庭に木が植えられた状態が完成だと思っているので,これからの外観の変化も楽しみです.
内部も着々と進んでいますが,今回のハイライトの一つは浴室.クライアントのこだわりにとことんまでお付き合いしたお風呂は特別仕様.ちょっとこれまでに例のないお風呂になるかもしれません.
そのこだわりのひとつはタイル.クライアントが今回選んだのは丸タイル.・・ちょっと考えただけでタイル割りに悩まされそうですが,タイル屋さんのウデとセンスのおかげで,本当にきれいに張り上がりました.丸タイルがきらきらと鱗のようです.しかも青空の見えるトップライトまで!最後に取り付けられるシャワーにも・・乞うご期待です.
今日はクライアントと一緒に現場を拝見しましたが,クライアントからも現場が完成に向かってゆく高揚感が伝わってきました.浴室のタイルにも感激してくださり,こちらも嬉しくなりました.
正直,浴室はこの家のハイライトのごく一部に過ぎません.あちこちにあっと驚く設えを用意しています.進捗が楽しみですね!年明けからの現場からも目が離せません.
同期会
この暮れ,卒業以来ぶりに再会した友人との会話から,久しぶりに同期で集まろうという話になり,昨晩はそんな日大の同期会.最初は数名の内輪の話だったのが,気づくとメンバーは20名にまで膨らんでいました.(ちなみに我々の学部は,学年に300人いるので,これでもごくわずかな集まりなのです)
学部を卒業して早20年.個人的につながっている友人も多いですが,10年ぶり,20年ぶりという顔もありました.独立して事務所を構える者,組織事務所で大型案件を動かす者,確認検査機関の副社長という者もいれば,再びフリーとなって道を探っている者.人生いろいろ.社会的には責任ある立場に置かれた世代ですが,会えばあの頃に戻ります.やっぱいいですね.
確か7~8年ほど前にもこのように同期で集まったことがありました.その時は30代で,独立したてでがんばっているという者や,組織を辞めてこれから独立しようという者も.思えば30代はまだまだ坂道の途中.それぞれ一人前になる一歩手前の,少し青さが残る時期だったような気がします.
今回皆40を過ぎた大人の会となり,落ち着くところに落ち着き,独立した者は軌道に乗り,組織の者も会社の中でそれなりの肩書きを持つようになる,そんな同期たちの語り口には自信と信念が垣間見れて,とても心強く,また刺激をもらいました.
1年のいろんなことを忘れる,という意味では私にとってはまさに”これぞ忘年会”という楽しい会となりました.私は参加することももちろんですが,こういう席を企画して場所を設けるという役回りがどうも好きなようです.学生時代から一貫して変わらぬ「幹事さん」.みんなにとっても,さぞや都合の良い存在に違いありません笑.でも好きでやっているのでどうかお構いなく.
参加して下さった皆さん,どうもありがとうございました.
どうか良いお年をお迎えください!
FAX番号変更のお知らせ
【お知らせ】
FAX番号が変更になりました.
旧FAX: 048-471-0260
↓
新FAX: 048-203-6101
電話番号は変更ありません.
どうか登録のご変更をお願い致します.
反省はしません
この歳になると思うんですね.人って反省しちゃいけないなと.
これは開き直っているんじゃないですよ.反省しないといったって,本当に反省しない人は馬鹿です.社会では生きていけません.
でも自己否定からは何も生まれないと思うんですね.
自分はなんてだめな奴なんだとか,死んでしまいたいとか,そこまで思わなくたって,自分を全肯定して生きている人はそうそういないし,いたとしたら自信過剰の相当にヤな奴でしょう.
でも自分を肯定しなくては,人って生きられないんだと思うんです.
私も今年はいろんな失敗がありました.迷惑をかけた人もいますし,取れなかった仕事もありました.その時は本当にへこむんですね.自分の非をなじりたくもなりますし,才能の限界を感じ,自分の価値なんてこれっぽっちもないんじゃないかと,消えてなくなりたいような気持ちにすらなります.
でも,それを受け容れてくれる人たちがいるんですね.
全員じゃありません.きっと人に受け容れられる確率は3割も行けばイチロー並みなんじゃないでしょうか.私の場合どうでしょう,少なくとも家族や,私に仕事を依頼してくださったクライアント,スタッフ,少ない友人は私を認め,全幅の信頼で受け容れてくれる人たちかもしれません.少ないです.本当に少数だと思います.
だから,私はその限られた人達を幸せにしたいと思います.
私というちっぽけな存在が,生かされている意味はそこにあると思うからです.
だから反省はしません.
そんなことを思う年の瀬です.
皆さま,どうか良いお年を!
賀正・マグロ
正月朝の楽しみといったら、やはり年賀状ですね。若い子はもう年賀状など出さないのでしょうね。同業でも年々メールやSNS上での年賀挨拶が増えてきました。それはそれで抵抗はありませんが、やはり紙で届く年賀状には独特の味わいがあります。
一番嬉しいのはやはりクライアントからの年賀状で、お住まいになっている方であれば住み心地について、進行中の方であればワクワク感を、思い思いの言葉で送って下さいます。一枚一枚手に取りながら、一年の初めにモチベーションが上がる瞬間です。
仕事柄、同業やデザイナーが多いので、年賀状は皆ため息をつくほど美しく、工夫の凝らされたものが多いのですが、中でも十年来毎年頂く年賀状で密かな楽しみにしているのが、ペーパークラフト作家の友人、坂啓典さんからの年賀状。年賀状が毎年ペーパークラフトになっているのです。
もちろん切り刻むのは抵抗があるので、そのまま保管していたのですが、今年は衝動にかられ実際に作ってみることにしました。
ちゃんとできた!笑。当たり前ですが。
でもなんでマグロなんだろう…?
てぬぐい
年が明けると建設会社の方達が,入れ替わり立ち替わりご挨拶にやってくる.ほとんどが玄関先で社名入りのタオルを手渡し,頭を下げたらすぐに帰って行く.
今日は私の不在中に,都内で集合住宅を施工して下さっている中堅ゼネコンの辰(しん)さんがご挨拶に見えたらしい.アトリエ事務所の仕事をどこよりも多くこなしておられる辰さんの,新年のご挨拶はさすがに洒落ていた.
建築家・永山祐子さんのデザインしたオリジナル手ぬぐい.ちゃんと「SHIN」の文字も入っている.建築的アイコンである階段をデザインモチーフにしながらも,日本の伝統美を表現している.よくできたデザインだ.
ところがよく見ると,パターン全体が真ん中でくびれて意味深な模様が入っている.ハテ,これはどういう意味なんだろう?と眺めていたら後ろで奥さんが「富士山じゃない?」と一言.あぁ,そうか!デザインにもう一ひねり.さすが永山さんである.
いたく感心したので,これをスタッフがわかるかどうか試してみることにした.
「ねえUくん,このパターンの意味わかる?」
「あ,それさっき辰さんが富士山だって言ってました」
「・・・」
あのねえ,そこ絶対言っちゃいけないとこだよね?
わかっていても一応首かしげなくちゃいけないとこだよね?
ねえ?ねえ?
証拠にそのあと
「ねえYくん,わかる?」
「さっき,Uさんの聞こえちゃいました」
もう台無し
凱旋プロジェクト
新しい計画の敷地に行ってきました.
クライアントよりご連絡があり,地名を聞いた瞬間「ハテ,聞いたことあるゾ」と思い,地図を見た瞬間「あっ!」となりました.私の母校,県立大宮高校がある場所だったからです.
敷地も母校の目と鼻の先.こうなるとおのずとテンションも上がるというものです.母校に錦を飾らなくては!勝手に「凱旋プロジェクト」と名付けることにしました.
氷川参道から左に折れると,校門まで一直線に延びる道があります.当時の通学ルートです.曲がった瞬間「懐かしい!」となるかと思いきや「???」.あまりに変わりすぎていて,私の当時の記憶の断片と何一つ重なるものがありません.
私の知るこの道はもう少し素朴な,古い住宅が建ち並ぶ通りだったような気がします.それが軒並み建て替わり,三階建ての住宅やRC造のマンションが建っているところもありました.すぐ近くにはさいたま新都心の高層ビル群.また通りのあちこちで更地化した土地や,工事中の住宅もありました.急速に代替わりの波が押し寄せているようです.
そんな時間の流れの中で,母校の校舎と校門だけは変わっていませんでした.今でも校門まで高校の入学発表を見に来た日を思い出すことができます.その佇まいは変わっていなくて,私はほっとしましたが,在校生や教職員の方はきっと老朽化に建て替えを望んでいるかもしれません.
校門前には石井商店.いわゆる駄菓子屋さんなのですが,こちらは通称「石デパ」と呼ばれて,お昼時,部活帰りには大宮高生の胃袋を満たしてくれる貴重な存在でした.こちらはモダンなRC造に建て替わっていました.その資本は,大宮校生が日々投下したあのお小遣いであったことだけは確かです.
本来なら不法侵入でしょうが,あけすけに開いている校門に一礼して,少し中にも失礼させて頂きました.目の前には立看板.
「祝全国大会出場・弓道部」
うそでしょ!?あの弱小クラブが?(失礼)
何を隠そう私は弓道部でした.私が県の新人戦で優勝を逃した時にはちょっとした騒ぎになったくらい,賞や上位大会とは無縁ののどかなクラブでした.
いや違うな.私の時も確かに強豪だったかもしれない.もしかしたら私が出たのも全国大会だったかもしれない,とにわかに都合の良い記憶の改変が起こっていますがなにか.
図々しくも,ずんずん敷地の奥に進むとありました.弓道場が.懐かしいなあ!
立派に建て替わっていて感激しました.そうそう,私の時もこんな立派な弓道場でね,とはならない.実にみすぼらしい小屋であったことだけは確かです.
母校に錦を.
凱旋プロジェクトに,今から意欲を燃やしています!