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Channel: リオタデザイン|建築設計事務所
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モデルさん

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先週末は湘南台の家の取材がありました。この日も、ののちゃんは大活躍!喜んで被写体を買って出てくれました。髪飾りにもこだわりを見せ、現場はモデル待ち状態。

しかし来月売りの表紙が、自分でないことを知ったらどう思うでしょうか?



MY HOME+ Vol.39

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MY HOME+ Vol.39(エクスナレッジ)の献本が届きました.薪ストーブのある家特集に「緩斜面の家」を取材して頂きました.

[MY HOME+ Vol.39 2015 Winter|エクスナレッジ]

薪ストーブにフォーカスするため,異例の夕景取材となりましたが,薪ストーブの薫りまで漂ってきそうな素敵な誌面に感激しました.編集部の皆さま,どうもありがとうございます!


以前施主が,この空間に合う音楽としてThe John Butler Trioの”OCEAN”を挙げておられました.誌面からも薪のはぜる音に混じって,このOCEANが聞こえてきそうです.

どうか書店にて,お手に取って見て下さい!

施工図ってなんですか?

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我々が描く設計図面とは別に、現場に入ってから現場が図面を再作図する「施工図」というものが存在することを知ったのは、大学を出て設計事務所に入ってからだ。当時私は、入所後いきなり大手ゼネコンの現場監理担当者となった。

設計事務所が描いた図面を見て現場が施工すると思っていた私は、それって二度手間なんじゃないの?とも思ったけれど、どうやら設計事務所が描いただけの図面では、技術的検証が不十分であるということらしい。

それを我々がチェックし、承認する。だから必ずしも彼らの都合の良い施工にはならないのだけれど、現場監理はこの施工図面承認が最も肝であり、これを誤って承認してしまうと、何を施工されても文句は言えなくなるという恐ろしさもこの時知った。

そして独立した。現場は施工図をまず出させてそれを承認するのが監理である、と叩き込まれていた私は、零細の工務店に対してもそれを要求した。しかし彼らから返ってきたのは「施工図ってなんですか?」というつれない返事だった。

どうやらゼネコンと住宅の現場では文化が違うらしい。以前私が思い描いていたように、設計事務所が描いた図面を見て、それをそのまま大工さんが施工するという世界がそこにはあった。つまり住宅では施工図は設計事務所が描くらしい、ということをそこで学んだ。

そうなるとうかうかしていられない。いい加減な図面を描いても、誰もその後始末はしてくれないわけだから、大工さんが釘一本、棚一枚施工するまでのイメージを膨らませながら住宅の図面は描かなくてはならない。我々の「図面至上主義」の原点はここにある。

しかし、それでも優秀な現場監督は、住宅であっても施工図を自ら起こす。

私は前述のような現実があったとしても、原則として全ての現場は施工図を起こすべきだと思っている。なぜなら、図面が頭に入るからだ。自分で反芻して図面を再作図してみると、設計者の意図や職人さんの段取り、搬入方法や施工手順など様々な問題があぶり出されてくる。

数学の問題を後ろの解答集を見てわかったつもりになっていても、いざ自分で解こうとすると頭がまっしろになってしまうことがある。その感覚に近い。台本を下読みして、稽古場で何度もリハーサルを繰り返す。これが現場における施工図の意味だと私は考える。

そんな中で、私は施工図能力ナンバーワンなんじゃないかと思っているのが、エークラフトの伊藤さん。過去には吉祥寺のmoiや、crann、SLIDEなどの内装施工をお願いしているのだけれど、この方にお願いするとそれはそれは丁寧な施工図が上がってくる。

惚れ惚れするのは、それがすべて手描きで、私のような手描き設計事務所で修業した身をもってしても唸らされてしまう美しさなのである。箱をどこで分節して、どこに配線・配管を通すのかについても、実に念入りに検討されている。

これはスタッフにも教育効果は抜群で、高いレベルの仕事というものはどういうものなのかという基準を植え付けるには最適の教材になっている。我々もここまで描いて現場を唸らせたい、といつも思う。

すずめ

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いつもトウモロコシだけ残すので、トウモロコシの入っていない餌に変えたら急に食べなくなりました。群れで毎朝飛んで来ては、「ねえ、いつものやつないの?」と食べずにずっと騒いでいます。

ふん、そんなに嫌なら食べなくていいさ!

そんなスズメのハンガーストライキ3日目。昼頃に見やると、なんとガツガツ食べてるではないですか。仕方ない食べるか、と口にしてみたら思いのほか美味しかったようです。噂を聞きつけて飛んできたスズメの行列ができていました。写真の中に7匹くらいいるの、わかります?

そうだ、プレカット工場に行こう!

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このたび、建築専門誌『建築知識』さんの同行取材でプレカット工事に行ってきました。現在、ちょうどとある現場の密着取材を受けているのですが、その流れで「プレカットは果たして工場でどう刻まれるのか?」という話になり今回の取材となりました。

エクスナレッジ社の誇るデコボコ・・もとい名コンビ、西山&峯山さん(以下N&M)、機会を作って下さりどうもありがとうございます。

行き先はポラテック板東工場。泣く子も黙る日本最大の、というか世界最大のプレカット工場です。もう行く前からわくわくが止まりません。

さて、住宅の現場では上棟前に必ず木組みのプレカット打合せがあります。

今どき手刻みの現場はほとんどなく、上棟と言えばプレカットが常識となって久しくなりました。プレカットとは昔は大工さんがシコシコとノミで削っていた仕口を機械加工で済ませる技術のことです。「ルーターをぐるぐるっと回して仕口を作るんでしょ?」とイメージとしては設計者は皆理解していると思いますが、実際に工場でその様子を見た人はどれほどいるでしょうか?

ということで行ってきました。
では特別に、そのプロセスをここでご紹介したいと思います!


ああ~っと!ここでN&Mよりストップがかかってしまいました。
なになに?「続きが知りたかったら、3月売りの建築知識4月号を買って下さい」って?ケチ。ちょっとくらいいいのにねぇ?

でも、ここで逆らうとN&Mに干されてしまいますので、大人しく従うことにします。でも特別にお許しを得て1枚だけ。


プレカット工場の中にも大工がいるって知ってました?

機械では対応できない細かい仕口や細工は、結局は人の手で刻まれることになります。よくプレカット打合せで出る「じゃあ、そこは手刻みで」という合言葉は、私は長らく「現場で対応する」の意味だと思っていたのですが、プレカット工場の中に手刻みの専門工がいたとは知りませんでした。

でもそれって、ちょっと痛快ですよね。結局は手刻み、と聞くと人はなぜか安心するものです。でも今回の工場見学でプレカットの見方がずいぶん変わりました。これはもう人智の結集というか、それは近未来の物づくりの風景を見ているようであり、大変刺激を受けました。おそらくそう遠くない未来には、手刻みでしかできない領域は相当狭くなっていることだけは確かです。そのくらいスゴいんですから。

機械でできるものは機械で、できないものは手刻みで。
顧客の要望は確実に形にしてみせる。

「できないなんて言わせない」とキッパリと言い放った品質技術課長のお言葉が実に心強く、カッコ良かったです。(そして頭の中ではNHK「プロフェッショナル」のテーマ)

他にもずっとプレカット業者の方に聞いてみたかったことを、根掘り葉掘り質問させて頂き、収穫も多く大満足の一日となりました。

詳しくは3月売りの「建築知識(エクスナレッジ)」4月号にて。こちらには、我々リオタデザイン設計による3月竣工予定のFP(S邸)の実施図面解説と、実際の現場プロセスも図解入りで掲載される予定です。(こちらのプレカットもポラテックさんです)

最後に、快くご対応くださいましたポラテックの畑中さま、下山さま、ポラスの青柳さま、どうもありがとうございました!N&Mさん、現場取材も引続きよろしくお願いします。

額装しました

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以前ブログに書いた子どもの描いた水墨画。
とても良く描けていたので額装に出すことにしました。

きっかけは「湘南台の家」のお施主さん。以前撮影時にお邪魔した際、壁にとても素敵な絵がかかっていたのでどこのアーティストの作品だろうと思っていたら、なんとお子さんの絵を額装したものだとのこと。まさに「こどもはピカソ」ですね!

絵を市販のアルミフレームに入れただけでも十分引き立ちますが、美術に関係したお仕事をされていたそのお施主さんは、娘さんの絵をアート作品と同じ手法で額装されていて、それがとても素晴らしかったので私もマネすることに。

そんな話をすると、なんとそのお施主さんがナラ材の美しい額を1枚譲ってくださいました。(Hさん、素敵な額をありがとうございました!)

近所の額装店に相談すると、皺がよっているので、まずは裏打ちをした方が良いとのこと。裏打ち加工を施してからマットを取り付け、一週間ほどで出来上がり。

篆刻印は書道をやっている義母の手作り。
なかなか風情ある仕上がりになりました!

ILMAキッチン改装

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私が独立して初めて設計した住宅「ILMA(2003)」も竣工して10年が過ぎ、昨年よりキッチンを中心とした改修の相談に乗っていました。それが本日ようやく完了です。エークラフトの伊藤さん、今回も素晴らしい施工をありがとうございました!

ILMAはわずか13坪の敷地に建つ、私の大学の友人の家です。その狭小ぶりも、飛び抜けたローコストも、当時の私にははじめてのことばかりで、逆に怖いもの知らずで突っ走ることができた家でした。

同じく建築を飯の種にする友人との設計議論が盛りあがったせいもあるかもしれません。痛い思いや危ない思いもいっぱいしましたが、ILMAは無事完成し、私にとっては初期の代表作となりました。この住宅ができたおかげで、私も少しは設計で食べていけるようになったとも言えるかもしれません。


さてそんな若気の至りで突っ走った家でしたから、クライアントの友人も住みこなしにはずいぶん苦労したと思います。でも一度もクレームらしいクレームをもらったことがありませんでした。それには本当に友人に感謝しているのです。

そんなILMAも改修の時を迎えました。私もその後いろんな設計の経験値を蓄え、友人夫妻も同じように歳を重ね、子どもができ、そんな今だからこそ考えられるキッチンの形やライフスタイルを、また十数年前のあの時と同じように膝を突き合わせて何ヶ月も打合せを重ねてきました。


・・こんなことを言ってはなんなのですが、もう今となってはこういう小さな改修仕事をうちの事務所では請けられなくなっているんですね。実際スタッフは手一杯で、こういう仕事に担当をつけることができません。

だから今回は私がすべて一人でやりました。図面もすべて私が描いて、打合せも、現場も一人で通いました。そう、だからあの時と同じなんです。正直家具図を自分で全て描いたのは久しぶりですよ。ちょっと楽しかったですけどね。


できあがってみて、やっぱり感慨がありましたね。
あれから10年。そして、この先10年。

あと10年もしたら、娘さんも家を出て行くかもしれないな。そうしたら第三期計画がはじまるのかもしれない。そうやって永く住みつないでいってもらいたいなあと思います。

なんといっても、この家は私にとってはじめての家なんですから。もう何十件も設計してきましたけど、この先も何十件も設計してゆくと思いますけど、はじめての家はいつまでたってもはじめての家なんです。

下は当時との比較写真。
若かったねえ!でもやっぱキミ、今の方がいい顔してるよ。

そこにある危機

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現在大手メディアが報じない社会問題とも言うべき問題が、建築業界を覆っている。その一つが職人さんの人手不足の問題。これは本当に深刻で、大工はもとより左官や鳶、ほぼすべての職種が足りていないという現状がある。

私の知る工務店の方は「仕事はあるし、見積もりを出せば取ることもできる。しかし職人がいないから請けることができない」という深刻な悩みを抱えている。この流れが進むと、本当に地域の工務店にとっては死活問題となるし、家づくりは益々職人がいなくてもできる工法へのシフトが進むだろう。建具もお風呂もキッチンも、すべて既製品のユニットを入れればできあがるという具合に。

これはそういうものを望まない建て主にとっても死活問題になるはずだ。そして何より、地域の工務店は大手ハウスメーカーとの違いを打ち出すことが難しくなってくる。これは工務店にとっては大きな危機である。

では我々はどうか。もちろん、我々にとっても上記の問題は大きな脅威であることは間違いないけれど、我々はそれと同じくらい大きな問題に直面している。現在、住宅の省エネルギー基準を見直す動きがある。

http://lowenergy.jsbc.or.jp/top/resource/house_slide1.pdf

非住宅や、住宅でも大規模な集合住宅などでは既にこれは義務化となっている。そして最後の砦となる、300m2未満の小規模住宅でも、2020年までに義務化されることになっている。

しかしこれを聞いても、一般の方はピンとこないかもしれない。
でもそれって省エネになるんでしょ?断熱性能が高まるってことでしょ?良いことじゃないの?

はい、ある意味良いことです。
でも私から言わせれば、我々がテリトリーとする首都圏地区に関しては今のままで十分なんです。現在も「次世代省エネルギー基準」というのがあって、うちの事務所でも”ほぼ”これに準拠して断熱性能を決めています。

これを守るととても暖かい家になります。入居したお施主さん、皆さん暖かい暖かいと言ってくれます。日中は陽だまりのようになります。でも冷え込む日には多少不満もあるでしょう。冬でも半袖で過ごせる北欧住宅とまではいきません。これが私が思う「十分」の意味です。

でも”ほぼ”と書きました。それはそれを守らないところがあるという意味です。例えば製作で木製建具を作ることがあります。テラスに全開放するような大型建具って憧れますよね。でも気密は良くないです。

あるいは玄関扉と言えば、やっぱり木ですよね。味わい深くて愛おしい家の顔になります。でも断熱等級はないです。モヘヤやその他で気密は取りますが、木は反るので徹底はできません。だから隙間風は勘弁してね、と言います。いいじゃないですか。時にちょっとした隙間風なんかより人の暮らしを豊かにしてくれることはあるはずなんです。

ところがこれ以上の断熱・気密の動きに社会が傾くと、こういったことすらできなくなる恐れがあるのです。

家を包む表皮の性能が問題になりますので、建築家住宅によくあるような、大きなガラスのファサードなんかも制約を受けるでしょうね。窓は小さく小さく、なるべく熱を逃がさないように作らなくてはならなくなります。

今ハウスメーカーなどが言っているゼロエネルギーハウスなんていうのは、その最たるものです。サランラップか魔法瓶の中で暮らすようなものです。私は反対です。そんな家、息苦しいと思います。

私は思うのです。省エネは社会全体の動きとしては必然だと思います。断熱・気密、大いに結構だと思います。でも強制はしないで頂きたい。私が設計する家だって、相当断熱と気密にはこだわってますが、前述のように意識的に徹底はしないようにしています。それは人間が持つ本質的な”ゆるさ”を家もまた併せ持つべきだと思うからです。

またそれは本来、建て主が選択すべきものです。お上が決める問題じゃありません。非住宅や、住宅でも集合住宅のように不特定多数の方が使うような建築は、高い基準でその性能は決められるべきかもしれません。しかし特定される個人の方が、個人資産で建てる家には、その自由は許されても良いのではないでしょうか。

誤解のないように言うと、断熱性能なんてなくても良いと言っているのではありません。その逆です。そうではなくて、それを勝手な解釈で押しつけないでくれと言いたいのです。いいじゃないですか、建て主が開放的な生活を望まれるのであれば。

煙草と同じです。禁煙のお店が増えて肩身が狭くなるのは仕方ないと思いますが、だからといって法律で禁止すべきではないと思うのです。(※ちなみに、改正法で木製建具が一律に禁止されるということではありません。誤解のないように。ただベクトルは益々時代と逆行してゆくということに危機感を感じるのです)

職人不足は工務店を殺す。
やみくもな法規制は設計事務所を殺す。

我々から自由な家づくりを奪わないで欲しいと思います。


何もないけれど、すべてがある

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本日、快晴の空のもと「コートテラスの家」が上棟しました。
躯体が見えるなり、思わず声を上げました。本当に美しい躯体です。

上棟した姿を見ると、我が子が誕生したようにいつも感じます。そしてこう思うのです。「やっぱ、うちの子がいちばん可愛いな!」と。ただの親ばかですね。

子どもは生まれたときに全て備わっているといいますが、住宅の上棟にもまたそう思います。上棟には全てが備わっている。これまでの軌跡も、そしてこれからの道程も、すべてここには折り込まれているのです。まだそれが目には見えないというだけで。

だから美しいのだと思います。何もないけれど、すべてがある。

子どもの成長を願いながらも、いつまでも子どもであって欲しいと願う矛盾した親の気持ちを、私はつい上棟した純粋な躯体に重ねてしまうのです。

表紙に登場!

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エクスナレッジ社よりムック本が発売されました。
>> 「一生使える!住宅の高さ寸法」 /エクスナレッジムック

表紙は「緩斜面の家」これは嬉しいです!
緩斜面の家の写真に、関連寸法がすべて付記されています。

しかも目次ページには「TREEHOUSE」と「FILTER」の写真がそれぞれ使われています。というわけでこのクレジットの並びを肴に、一杯いけそうな気分です。


こちらは過去に「建築知識」という専門誌に掲載された内容をムック化したものなのですが、実例を25件、コラムを2本掲載して頂いています。


それにしても最近のエクスナレッジ、タイトルに必死感があります。

「死んでも」
「死ぬまでに」
「一生使える!」

どんだけ必死なんでしょうか。
泥臭く点を決める岡崎のダイビングヘッドを彷彿とさせます。
嫌いじゃありません。

【西荻の家】オープンハウス終了!

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昨日「西荻の家」のオープンハウスを行い、本日お引渡しまで無事終えることができました。昨日ご来場下さった皆様、ありがとうございました。(今回のオープンハウスはブログにはアップせず、ご案内をお送りした方のみの限定公開とさせて頂きました)

またTさん、ご竣工おめでとうございます!
今日午後のお引越は無事済みましたでしょうか?お疲れさまでした。今日は楽しみにしていた新居のお風呂にゆっくり浸かって下さいね。


今回の家はこれまでの家の中で、ある意味最も贅沢な家かもしれません。
壁は漆喰、天井はレッドシダー、床はチーク、極めつけはダイニングテーブルで、長さ3.2mものチークの無垢テーブルを製作しました。

しかし、それらはけして思いつきでも、湯水のように安易にお金を使った結果でもありません。もちろんそれなりに費用がかかったことは確かですが、それら一つずつ、長い長い時間をかけて議論し、積み重ねていった結果なのです。



今回の家づくりには実に2年を費やしました。設計だけでも約1年以上・・。設計打合せの数は過去最多です。というのもクライアントが当時ご近所に住んでいたこともあり、気になることがあると、メールよりも先に事務所に足を運んで下さっていたからです。

それにしても長かった・・。

Tさんとはどんなに話をしても、底なし沼のように終わりがないのです。いつも楽しそうに打合せに向き合って下さり、議論は次第に洗練し、深く本質に行き当たるまで話が尽きることはありませんでした。

またTさんは、設計中私が最もお酒を一緒に呑んだクライアントでもあります。ご主人と二人で、また時には奥さんも交えて三人で、駅前の居酒屋で語り合いました。私がここまでプライベートでお付き合いしたクライアントというのも珍しいです。



現場に入っても、いろんな”事件”がありました。その都度冷や汗をかきながら現場でクライアントと協議したのも、今となっては良い思い出です。

Tさんはけして感情的にならず、熱心に耳を傾け我々の意見を尊重して下さいました。ご主人の純粋さと、奥様の細やかなお気遣いに、私はいつも癒やされていました。


オープンハウス後恒例の打ち上げでは、すべてが終わり、お互い解放された気分からいつも以上に饒舌に、話にもより賑やかな花が咲きました。

きれい事を言うわけではありませんが、私にとって仕事の最大のモチベーションは、クライアントに喜んでもらうことです。この日のクライアントは本当に嬉しそうで、何度も感謝のお言葉を頂いているうちに、私も熱いものがこみ上げてきました。

良い出会いと濃密なプロセスによって、素晴らしい結果を残せたことに我々も満足しています。Tさん、この家ともども、これからも末永いお付き合いをよろしくお願いします!

お疲れさまでした!

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スタッフの吉里くんが今月末(つまり今日)を最後に、事務所を離れることになりました。

といっても正確に言うとまだ退社ではなく、仕事のプラットフォームを自宅(分室)に移すというだけで、引続き7月竣工予定の「はねだしテラスの家」の完成までは、弊社監理スタッフとして働いてもらいます。

というわけで、私は来週も現場で彼と顔を合わせますし、正直実感はないのですが、彼のガランとしたデスクを見るとちょっと寂しくなってきますね。

彼はうちの事務所に来てもう3年になるでしょうか。うちに来たときから、すでに仕事のキャリアも実力も申し分なかったので、わざわざ苦労してうちで働かなくていいんじゃないの?という話をしたのを覚えています。

子供までいる彼は、毎朝子供と電車に乗り、途中下車して預けた自転車で託児所に送り、そこから再び出勤するという毎日を送っていました。そして誰よりも早く出勤し、誰よりも早く帰る。彼の描く図面は緻密かつ正確、そして手も早いので「もうできたの?」と驚かされることも多かったです。うちにとっても貴重な戦力でした。

この3年間で彼が担当した住宅は7件。先日竣工した「西荻の家」も彼の担当になります。特に西荻などは”緻密の極み”のような仕事でした。まさに彼には適任の仕事だったような気がします。

前述のように、まだまだ弊社スタッフとしての仕事は続くので、終わりではないのですが、まずは切りが良いところで「お疲れさまでした!」と送り出したいと思います。

うちを離れるスタッフは、他社への転職ではなく、ほとんどが独り立ちしてゆきます。修業時代の終着点としてうちを選んでくれたことは、いつも嬉しくありがたく思っています。彼にも彼なりに考える人生プランがあるようですが、他のOBスタッフ同様、これからも応援してゆきたいと思います。

FPまもなく竣工です

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ついこの間「西荻の家」を引渡したばかりですが、気が休まる暇はありません。昨日は川越の「FP(S邸)」の施主検査がありました。

私はこの住宅を建築ではなく”工芸品”と呼んでいるのですが、板金とシナベニヤだけでできている住宅ですが、神のような施工精度です。このことについては追々書きたいと思います。

今日の奥様の名言「わーオープンハウスみたい!」
オープンハウス見に行って、一番気に入った家に実際住めちゃうみたいな。なんだかほのぼのしました。

ダメをチェックするつもりが、次々と細かいディテールを発見して「これがいいよね」「これだけを肴に一杯いけるね」とデザイナーのクライアントとの話はいつまでも尽きないのでした。

カイ・フランクみたいな家

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先週引き渡したばかりの「西荻の家」に、完成したばかりの表札を取り付けるためにお邪魔してきた。うちにはオリジナルの表札デザインがあって、ほとんどの場合こちらで製作させて頂くことが多い。

無事取付も終わり、そのまま失礼させて頂いた・・はずもなく、あたかもそっちが目的であったかのように、大きなダイニングテーブルを囲んでTさんご夫婦との歓談が始まった。

お茶の後に出されたコーヒーカップは、カイ・フランクのTEEMAだった。

カイ・フランク。フィンランドデザインの良心と呼ばれ、私が最も敬愛して止まないデザイナーの一人。私にとってカイ・フランクはフィンランドデザインそのものであるし、TEEMAは私にとって特別な意味を持つデザインでもある。

TEEMAの持つ慎ましさが好きだ。巨匠と呼ばれるデザイナーがデザインしているというのに、全然威張ってない。せめてお名前だけでも、という言葉を背中でおきざりにするような佇まい。機能的で無駄がない。ここにはデザインに必要なすべてがある。

私は”ドヤ”のあるデザインが好きではない。そんなのは血気盛んな学生が学校の課題でやればいい。デザインというのは、使う人と共にあり、人に寄り添うものであるべきだ。

では主張がないものが良いのかといえばそうではない。口数は少なくとも確かな存在感を放つもの。そこにあるだけで空間の秩序が結ばれ、人の暮らしを豊かに、より高い次元へと導いてくれるもの。

カイ・フランクのデザインにはそれがある。

Tさんは竣工した住宅で使うカップにカイ・フランクを選んでくれたのだなあ。そう思ったらとても感慨深かった。そんな話をしたらTさんが一言。

「でも最初にお会いしたとき、カイ・フランクみたいな家がいいんだって、関本さん言ってましたよね?」

ええっ言いました?そんなこと。
・・・言ったかもしれない。忘れてたけど。

そうか。カイ・フランクみたいな家になったんだ。
カイ・フランクが似合う家になってくれて、本当に良かった。

オレンジページ・3月17日号

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現在発売中の「オレンジページ・3月17日号」に、昨年竣工の「湘南台の家」が掲載されています。二世帯住宅の利点や心構え、そして現実などについてのご紹介です。

湘南台のHさんは両世帯とも大変仲が良く、子世帯側の奥さんもご主人のご両親と程よい距離感でうまくお付き合いをされているなあと、行くたびに感心させられます。

また二世帯をつなぐ”かすがい”の役割を果たしてくれるのは子供です。Hさん宅も例外なく娘さんが両世帯を行ったり来たり、家族の関係をうまくかき混ぜてくれていました。

Hさん、取材のご協力ありがとうございました。またライターの加藤さん、素敵な記事をありがとうございました。オレンジページは言うまでもなく住宅雑誌ではなくお料理の本ですから、ご覧頂いた後はどうか日々の献立にお役立てください笑


【FP】オープンハウスのお知らせ

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小江戸川越の街を愛するクライアントからのご要望は、川越らしさのある家であること、そして3台の個性的な愛車のうち1台をビルトインにして、家中のどこからも眺められる家にして欲しいということでした。

住宅は中庭のある「ロの字」型プランとし、外側には生活の気配をゆるやかにこぼし、内側には大胆に開きながら各フロアがスキップし、視線を交錯させながら生活が連続する住宅を目指しました。

空間はどこまでもストイックに切り詰められながらも、徹底した機能主義と合理性によって貫かれています。高い施工精度による、シンプルでありながらも工芸品のような空間をどうかご堪能下さい。


【FP】オープンハウス(内覧会)
日時:2015年3月15日(日) 11:00~17:00 ごろまで

☆建築関係者のみならず、一般の方も自由にご見学頂けます。
☆お引渡し後の内覧会となります。小さいお子さんをお連れの方は、お渡しする手袋着用の上どうか手を離さずご見学下さい。

場所:埼玉県川越市(時の鐘のすぐ近くです)
東武東上線『川越市駅』 または、西武新宿線『本川越駅』より徒歩約20分

当日は折角の川越行きですので、是非とも蔵づくりの街も散策されてみてください。住宅はまさに川越の中心街にあります。
・川越散策マップ(PDF)
http://www.kawagoesansaku.com/sansaku/acro_map/sansakumap130316.pdf

また、近くに伊東豊雄氏の設計したヤオコー川越美術館もあります。ついでに足を延ばしてみてはいかがでしょうか?
・ヤオコー川越美術館 (設計:伊東豊雄)
http://www.yaoko-net.com/museum/about/outline/index.html


見学ご希望の方にはご案内をお送り致します.関本までメール下さい.
riota@riotadesign.com

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置いてきぼり

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去年のちょうど今頃、津田ホールで建築家の内藤廣さんの講演会があった。人気の高い講演会で、スタッフ全員で申し込んだところ一人だけ抽選に外れた者がいた。新人の山口くんだった。彼とは現場で別れて、彼以外の全員で講演会に出かけた。

そして今年も津田ホールで内藤廣さんの講演会があった。今年も抽選らしい。山口くんが現場帰りに漏らす。「いよいよ来週ですね」なにが?「講演会の当選がわかるの」そうか、彼は今年こそは置いてきぼりを食らうまいと思っているのだ。

翌週当選が届いた。私と、山口くんに。他のスタッフはどうやら去年行ったから今年は応募しなかったらしい。そうか、だから山口くんにもくじ運が回ってきたのかもしれない。

今日はちょうど彼と現場に行く日。今年は現場終わりにも別れることなく、そのあとハシゴして一緒に講演会に出かけた。山口くんと二人で講演会。なんだか風邪ひいてお留守番していた可哀想な末っ子を連れて、一緒に映画館に来たような気分だ。

そういえば20年ほど前、僕が山口くんくらいの時、建築会館に内藤廣さんの講演会を聴きに行ったことがあった。所長に講演会があるから早めに上がらせてもらいたいと言ったら、過去にそんなスタッフはいなかったのか、ちょっと嫌な顔をされた。そんなことを思い出した。20年越しで、まだ私は内藤廣さんの講演会に通っているのだな。隣にスタッフを連れて。

まだ続きます・・

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本日FPの引渡しがありました。
しかーし!まだまだ終わりません。ここはこうしよう、ああしよう。クライアントとの”より良くする”ための議論に終わりはありません。

来週も相も変わらず現場に通うことになりそうです。
堀尾建設さん、巻きこんじゃってごめんね笑


タニタプロジェクト(最終章・取付け編)

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さて、以前よりこのブログで経過をご報告してきましたタニタプロジェクトも、いよいよ最終章に突入です。(タニタさんからも、ようやく”モザイク”解除の許可が下りましたので、このブログでもようやくその全貌が明らかとなりました!)

【これまでの経緯はこちら】
・タニタプロジェクト(会社訪問編)
http://www.riotadesign.com/blog/11398.html
・タニタプロジェクト(作戦会議編)
http://www.riotadesign.com/blog/141031.html


そもそもこのプロジェクト、昨年竣工の「竹林の家」に取り付けた”くさり樋”がうまく機能せず、水をまき散らしてばかりいるといったクライアントからのご指摘から、タニタさんが当時試作をされておられた新型のくさり樋を、特別にモニタ使用させて頂くことになったという経緯で現在に至ります。

ここでもたびたびご紹介しているように、タニタ(正式にはタニタハウジングウェア)というのは雨樋のメーカーさんなのですが、社長以下社員は皆情熱の塊のような会社です。うちのような設計事務所のオープンハウスにも、毎回社長以下3~4名の社員が見学に来て下さいます。もちろん休日にですよ?そんなメーカーさん聞いたことがありません。(しかも社長は毎回自転車でやってくるというのもオドロキです)

それはさておき、ようやく試作品が上がってきました!
交換の前に、まずは現在のくさり樋の持つ問題点から。



はい、見ての通りです。
なかなかモダンなくさり樋なのですが、くさりを伝った水が、その勢いそのままに外側に飛び散ってしまい、なかなか真下に落ちてくれません。結果、床の上はこのようにビチャビチャになります。カタログだけでモノを選んでしまうとこういうことが起こります。これには我々も深く反省するところです・・。

次にタニタの試作品を取付けてみました。



え?これって水流れているんですか?
ハイ、流れていルンです!(川平慈英風に)

飛び散りゼロです。これにはびっくりです!
よく考えられた製品というのはこうも違うんですね。で、この写真からは伝わらないと思うんですが、これすごくいい音がするんです。サワサワサワ・・って。

あぁ雨の音ってこういう音なんだって思いました。そして雨粒が整理整頓されて、まっすぐ下に落ちていく様は本当に見ていて飽きません。雨粒がね、キラキラしてるんですよ。雨をタテ樋に隠してしまうなんて、なんてもったいない行為なんだろうとすら思います。


でですね、私が本当にイイなと思ったのはそれだけじゃないんですよ。

タニタの担当者である岡田さん、関口さんと打合せをしていた時に、他の試作品も見せて頂いたんですね。で、他にも凝った形状のくさり樋はあったんです。でも今回のサンプル品はその中でも一番シンプルなやつでいこうということになりました。正直、私は単体では別の凝った形状の方でも良いかなとも思っていたんです。

でもこっちで正解でした。
すごくしっくりはまるんです。もともと建物の一部であったかのように馴染んでいました。大きさもちょうどいい。主張を抑え建物に寄り添う、とても品の良いデザインです。これならどんな住宅にも合うのではないでしょうか。


とまあベタ褒めなわけですが、今回は本当に良いものを見せて頂きました。開発には直接関わったわけではありませんが、末席ながらその開発プロセスに関わらせて頂けたことを光栄に思っています。

本プロジェクトに気長にお付き合いして下さいましたクライアントのIさん、お時間かかってしまい申し訳ありませんでした。そして、快く協力を申し出て下さいましたタニタの谷田社長、そして担当の岡田さん、関口さん、その地道な努力と誠実な対応には頭の下がる思いでした。本当にありがとうございました!


最後にですが・・
このくさり樋は現在製品化に向けて、実際に動いているそうです。発売予定の時期などはしかるべき時期にタニタさんより発表があることと思います。

ただタニタさんにご迷惑がかからないように申し上げておきますと、今回ご協力頂いたくさり樋はすべてサンプル品であり、まだ製品化されていませんので、このブログを見たからといって、タニタさんから同製品をお出しすることは現時点ではできないようです。

また写真に写っているモデルも試作品ですので、実際にこの通りのものになるかは私にもわかりません。どうかタニタさんからの製品リリース情報を首を長くしてお待ち下さいますよう。

ご協力:
株式会社タニタハウジングウェア
http://www.tanita-hw.co.jp/

[トンガリの家]竣工撮影

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ここのところ週末は雨続き.
ずっと流れ続けて、三週目の正直。晴れろ晴れろと念じつつ、今日はいい光です!
新澤さんの写真に期待します。昨年竣工「トンガリの家」にて。

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