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Channel: リオタデザイン|建築設計事務所
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9:11

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私は9月11日生まれであるが、時計を見ると9:11であることがよくある。
1度や2度ではない。

朝気配を感じて、その方向を見るとかなりの確率で9:11である。
昨晩も、風呂から出て時計を見たら9:11であった。

この話を何気なくスタッフにしたら共感していたので、
どうやら私だけではないらしい。


インタビュー

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先週末取材があった。
取材では必ずクライアントへのインタビューがあり、私との”なれそめ”について聞かれることになる。私はこういう時はつい恥ずかしくなってしまうのだけれど、このクライアントのエピソードはなかなか強烈なのでここでご紹介したい。

家づくりを決心してから、夫婦でどの建築家にお願いするかお互いに候補を挙げようということになった。つまり夫婦内コンペだ。お互い手の内は一切見せず、それぞれ別々のアプローチで好みの建築家をピックアップしていった。

それから半年、お互い3名に絞っていざコンペ。ご主人はパワーポイントを駆使し、奥様は付箋を貼った雑誌の記事を積み上げる。結果、お互い本命と踏んでいた建築家がかぶっていた。それが私だったと。

実は、同じような経緯で私に決めて下さったというケースが過去にもあった。

2010年竣工の「百日紅の家」では、奥様が出産した病院のすぐ近くにあったカフェに通うたび、そのカフェを設計した人のことが気になり私に行き着いた。ご主人はご主人でとある雑誌を見て、この人に頼みたいと思ったそうだ。同時に告白すると二人とも同じだったという。大変光栄なことだ。

ご夫婦というのは、お互い性格が違うように見えて大きな幹の部分を共有しているのだと思わされることが、この仕事をしているとよくある。もちろんこのような”ビンゴ”のケースは、引渡した後のお付き合いを含めて、”第三の夫婦”と思えるほどの抜群の相性を発揮する。お互いにとってこれほど幸せなことはない。

この日のクライアントのエピソードで、もう一つ嬉しいお話があった。

これは私も初耳だったのだけれど、私からプラン提案を受けて、ご夫婦としても一応の”チャレンジ”を試みたそうだ。つまり、トイレをこっちにしてみたらどうか、キッチンをこっち向きにしてみてはどうかと。しかしどれも全くはまらなかった。提案を受けたプランがいかによくできているかを思い知ったそうだ。そしてプロだなあと思ったという。

どうりで、このクライアントはその後一切のプラン変更を口にしなかったわけだ。裏ではそんなこともあったのかと。でもそんな経緯があったとはいえ、最後まで私の考えを尊重して下さったこと、全幅の信頼を置いて下さったことは本当にありがたかった。

脳科学者の茂木健一郎氏によると、人は忘れることによって記憶が思い出に変わるのだという。脳は時間が経ち、小さな出来事やディテールを忘れることにより、その「意味」のみをそこに留めるのだと。

家づくりが過ぎて生活に変わったころ、こうして当時を振り返るお話はとても楽しい。我々の仕事の意味を、私は知ることができるような気がする。

映画館

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週末時間ができると息子と二人で映画に出かける。誘うと決まって少し面倒臭そうなリアクションを見せる。そして最後にこう言うのだ。「別にいいよ」

6年生くらいになるともう親と出かけるのは億劫になるのだろう。それでも一緒に出かけると親子二人だけの関係になって、家では話さないことをポツリポツリと話しはじめる。私はこの時間が愛おしい。来年はもう中学生、あとどのくらい私は彼と映画に行けるだろうか。正直私は映画なんてどうでもいいのだ。

特大のポップコーンを買って息子は楽しそうだ。予告編の間も「これ面白そうだね」「これも観たいね」としきりに話しかけてくる。近所の映画館はいつものようにガラガラで貸切のようだ。私は気のない返事を返す。

この日の映画は「トゥモローランド」。終わるなり「いい話だったね!オレちょっと泣いちゃったよ」とてらいもなく話しかけてくる。そうか、そこそんなに感動したか。「すっごく楽しかった!お父さんありがとう」

思えばこの言葉が聞きたくて、映画に連れて行くのかもしれない。「次はこれを観に来よう」という提案に「いいね!」そんなアポイントを交わして映画館を後にする。

あとどのくらい、私は彼と映画に行けるだろうか。

廣瀬智央さん

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昨日はトンガリの家のアートワーク(ビーンズコスモス)を担当して下さり、イタリアから来日中の美術家、廣瀬智央さんがトンガリの家にお立ち寄り下さり、イタリアンを作って下さるという機会に呼んで頂きました。


美味しかったことはもちろんなんですが、そのビジュアルの美しいこと!さすがと唸らされました。廣瀬さんはクライアントの美大予備校時代の講師だったそうで、村上隆さんも当時の講師陣にいたのだとか。どんだけ贅沢な時代なんでしょう。私もそこにいたかった…。



今日はそんな予備校時代のクライアントのお友達も集まり賑やかな会でした。本当に楽しかったです。クライアントのYさん、廣瀬さん、ありがとうございました!最後に廣瀬さんの作品の前でパチリ。

グッゲンハイム・ヘルシンキ

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グッゲンハイム・ヘルシンキ(グッゲンハイム美術館のヘルシンキ分館ね)、ようやく決まったようですね。ウィナーのクレジットに日本人パートナーの名前が含まれていることに喜びを感じます。

Guggenheim Helsinki Design Competition
http://designguggenheimhelsinki.org/en/finalists/winner

ただ、陶器二三雄さんが次点に入ったヘルシンキ音楽センターは、コンペから完成まで10年かかったし、途中政権交代で何度もお蔵入りしかけたと聞いていたので、できたと聞いた時は「え、まだ生きてたんだ」と正直思いました。

ヘルシンキのコンペの歴史は、頓挫の歴史。まともにコンペしたって、実現に結びつく保証なんてどこにもありません。アールトだって、コンペを獲っても建たなかった作品はいっぱいあるんですから。日本であの逆風の中、ザハ案が生き残っていること自体が奇跡みたいなもんなんです。

完成は10年後かぁ…と勝手に。
生き残ってね!

満たされた仕事

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設計者というものは、つくづく「いまここ」を生きる職業であると思う。「いまここ」にすべてを賭ける。そして出来たものが、「いまここ」における最高の仕事であると。

しかしそれは相対的に決まるものでもある。
つまり依頼主を満足させるために、すべてはそこに向かって仕事を収束させてゆくわけだから、自分たちがいかに満足しようとも、依頼主が満足して下さらなかったらその仕事は最高とは言えない。それどころか失敗ですらある。だから恐い。建築の仕事は本当に恐ろしい仕事だと思う。

今日は来週引渡しの、とある住宅の竣工検査があった。

会心の出来だと思う。
心から満ち足りた気持ちになった。こういう仕事は本当に珍しい。他人にはわからないけれども、自分にはわかる思い通りにならなかった部分や失敗が頭を離れず、私はいつも深く落ち込む。どの仕事だってそうだ。

今日はどうしてそんな気持ちになったのだろう。
それはクライアントがとっても喜んで下さったからだ。クライアントからかけて頂いた言葉を私はきっと忘れないだろう。私が心から望んでいた言葉を聞くことができた。それが本当に嬉しかった。

「いまここ」に持てる力すべてを注ぐことができたとしても、人間は完全ではないから、やっぱり完全な仕事はできないのかもしれない。実際今日も検査では多くの指摘があったし、あれほど注意深く進めた我々の設計や、現場の施工も完全ではないことをあらためて実感した。

しかし今回は会心の仕事だったと思う。
満ち足りた気持ちになった。完全ではなかったかもしれないけれど、最高の仕事ができたと思う。

どうしてだろう?それはクライアントが喜んでくれたからだ。
不完全な人間は、人間によってはじめて満たされるのかもしれない。

コートテラスの家・オープンハウス終了!

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本日の「コートテラスの家」のオープンハウスにお越し下さった皆様、ありがとうございました!すわ梅雨明けか?というような快晴の一日。かねてより「大丈夫、オープンハウスは絶対に晴れるから」と断言していた私の言葉通りでした(どや顔)。

さて皆さん、好き勝手に感想をおっしゃっていた後ろを、クライアントが素知らぬ顔でうろうろ歩き回ってたのをお気付きだったでしょうか?

クライアントには「知らん顔して見に来て下さい。第三者の思わぬ評価が聞けて面白いですよ」とお伝えしていたのでした。もう皆さん、私の後ろにクライアントがいるのに、嫌な汗が出ましたよ!?でも皆さんお褒めのお言葉ばかりで助かりました笑

恒例の打ち上げはこの日はなしで、後日ということになっています。日も長く、まだ明るいうちに解散!スタッフもなんだかちょっと嬉しそうでした。皆さまお疲れさまでした!

☆今回はセミクローズで、招待者のみの開催とさせて頂きました。見たかった!という方のために、以下にちらっとだけ写真を載せますね。







ランウェイ

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住宅は極めてリアルで実務的な設計領域である。
しかし一方で、私は建築専門誌で前衛的な住宅を眺めるのも好きだ。それは参考にするとかしないとかいう次元を超えて、学生時代から一貫した「建築を見るのが好き」という嗜好がさせる行為のように思う。

パリコレでモデルさんがキッチュな格好でランウェイを歩いている。共感ポイントをはるかに超えるツッコミどころについて、ファッション業界の人たちの目にはどう映っているのだろう?と思うことがある。

うわっ斬新!負けた。とか、この素材感次試してみよう!とか思うんだろうか。でもそれ、街で着てたら捕まりますから。

そして、ほんとにそんな家設計したら訴えられますから、というのが実際建っているという事実。すごいなあ。専門誌をペラペラとめくりながら、いつもそんなことを思う。

イイ!じつにイイ。けしからんなんて思わない。だってひとごとだもの。
私は建築を見るのが好きなのだ。きっと、それってパリコレ見にくる人と同じ気持ちなんだと思う。

しかし世の中にはいるんですね。なんというか、パリコレの格好で通りを歩いている人が。この変態っ。捕まるよ?


無責任問題

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引渡しに合わせて家具が届いた。ところが階段を見るなり、配送屋さんは「上げられません」。上げられないのではない。傷をつけるのが怖いのだ。

でもハシゴを使えば中庭からも上げられるはず。工務店さんが「手伝いましょうか?」と申し出ると、「いや、責任問題になるので」と断られたという。

結局「じゃあ置いていってもらえば我々で上げますので」ということで、このひとコマ。ものの10分ほどで荷上げは完了して、無事セッティングも完了した。

我々はもうこういうのは慣れっこになってしまった。しかし、そのたびに私は無性に腹がたつ。だって不可能を可能にするために、我々がどんな気持ちで設計や施工と向き合いこの日を迎えたか。しかし彼らは階段を一瞥するなり帰ってしまうのだ。

プロなら上げてみろよ!
手段はひとつじゃないだろうに。

我々の仕事は、つまるところ責任を一手に引き受ける仕事である。だって、普通じゃないことをやるんだから。メーカーのマニュアル通り、保証という名の庇護のもとでは実現できることは限られている。私はそんなものに縛られて本質を見失う仕事なんて、心底くだらないと思う。

だから我々はそこから勇気を持って踏み出す。
時に保証から外れることも厭わずに。なぜか?

それはクライアントが保証の世界から一歩踏み出して、我々に依頼して下さっているからだ。安全で平坦な道はいくらでもあったのに、わざわざデコボコ道を我々と歩んで下さっているからに他ならない。

すぐに責任という言葉を持ち出す人は、自分が責任を持ちたくない人である。責任が強いのではなく、要は無責任なのだ。

里山の蛍

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私は蛍を見たことがなかった。ほんの数年前まで。

正確に言うと、イベントでビニールハウスのようなところを行列しながら見たり、客寄せ目的で放たれた都内の蛍なら見たことがあった。

しかし数年前、クライアントに誘われて、軽井沢町塩沢地区の蛍を見に行ってびっくりした。手を伸ばせば届く目の前を、野生の蛍が無数に飛び回る姿を見たのははじめてで、私はあやうく涙が出そうになった。

それをどうしても子どもに見せたくて軽井沢へ。まだシーズンの始まりとあって、飛んでいる数は少なかったとはいえ、それでも十分な数の蛍の姿がそこにはあった。

塩沢地区では、蛍を育てるためにわざわざ田んぼや水路を、トラスト運動によって年々増やしているのだという。よその蛍を放ったり、餌を撒いたりすることは一切しない。正真正銘、野生の蛍。

川の上を儚くも力強い光を放ちながら飛び回るその姿は、本当に美しかった。夜のフィールドを歩き回るという体験もまた、子どもには楽しかったようだ。

ガイドさんによると、来週〜再来週にかけては数百匹の乱舞が見られるだろうとのこと。野生の蛍を見たことのない方、是非一度足をお運びください。感動しますよ!

塩沢村エコミュージアム・里山キャンパス
http://ecomuseum.visitor-center.jp/

エスキース

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学生ってある意味義理堅いなと思うのは、過去に半期教わっただけの先生のところに、いまだにエスキース(設計指導)にやってくるということ。もう非常勤は1年以上前に退任したというのに。

学校では一人10分くらいのエスキースが、うちでは4時間コースになるわけですが、これはわざわざ足を運んだ子へのご褒美みたいなものでしょうか。もっともエスキースは1時間、あとはずっと脱線話でしたが…。

でもこういう話を、きっと彼らはずっと覚えているものなのかもしれませんね。

住みこなし力について

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今日はちょっとしたウェブ媒体の取材のためにトンガリの家へ。

降って湧いたトンガリ祭り。トンガリの家に通うのは、ここ1ヶ月でもう3回目くらいになるでしょうか。取材やら食事会やらが続いているせいですが、いつ行ってもYさんご夫婦は明るく迎えて下さいます。

さて、そんな竣工してからも通い詰めているトンガリの家ですが、いつも感心させられることがあります。それは家の”住みこなし力”について。


正直言って、Yさんのお宅は物が多いです。いつ行っても至る所に物が溢れています。でも、なんかセンスが良いんですよね。

Yさんの家に行くと、私はずっと棚ばかりを眺めてしまいます。そこにはいろんなものが飾ってあって、でもそのどれもがとっても愛情に溢れていて、家族の歴史がそこに刻まれているのです。


奥様はテキスタイルをやっておられたということで、どうも”織られたもの”がお好きなようです。家の至る所にはラタンや木で織られた籠が所狭しと置かれています。

ただこれも、家を建ててからお店でまとめて買ってきたという体ではなく、これまでにいろんな場所で、気に入った籠に出会うたびに一つ一つ買って増えてしまったという感じで、証拠にどれも形が不揃いでデザインも微妙に異なります。でもこれがまたいいのです。



ベッドのリネンも季節によって変えているようです。ソファのクッションも北欧のテキスタイルでまとめられていました。柄が同じで形が違うものもありました。

トンガリの家に来ると、幸せな生活というのは好きなものに囲まれて暮らすことなんだな、ということをあらためて感じます。先に書いたように、おしゃれな家を建てたからといって、慌ててセレクトショップで買い揃えたのではなく、これまでもYさんご夫婦は美しいものに囲まれて生活されてきたのでしょう。

しかしこれまで、その生活を納める器だけがなかった。それらが我々の設計した住宅の隅々に納められ、その居場所を得たように感じられたのは設計者冥利に尽きることです。


うちのクライアントの中には、本当に物を少なくして、竣工写真のままの状態でいつまでも暮らして下さっている方もいます。本当に頭が下がります。

それもまた家に対する愛情の表れだと思いますが、一方で家族の思い出や歴史のいっぱいに詰まったものが、部屋いっぱいに飾ってある家というものも良いものです。大切なのはぶれないことで、好みの統一がなされている空間というのは、物が多くても決して雑然とはしないものです。私はこういう生活感のある空間も大好きです。

最後に外部の植栽。竣工時にはまだまだ寂しかった道路際は、イイ感じに草花が育っているようでした。思い入れがあり移植した花梨の木も、今年も大きな黄色い実をつけてくれたそうです。

☆スタッフ募集のおしらせ 2015

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このたび、新スタッフを募集させて頂くこととなりました。

〇募集: スタッフ1名
〇入所時期: 2015年9月(予定)


【労働条件】

・給与:
面談時にお伝えします。ただアトリエで働くということがどういうことか、とりあえず理解して応募してください(つまりは修業みたいなものだということです)。ただしボーナスは(業績次第ですが)一応ありますし、スタッフには一人暮らしをしている者もいます。

・交通費: 全額支給

・手当て: 休日出勤手当あり

・勤務時間: 月~金 9:30~18:30まで

・休み: 土日祝日/お盆休み/お正月休み (+有給制度あり)
ただし担当する住宅の施主打合せなどが土日にかかわらず随時入りますので,その場合は基本的に仕事優先でお願いします.ただしその場合は手当が付きますし,打合せも半日程度で終わります.

・残業:
なかなか18:30きっかりには帰れないかもしれませんが,自分のやることが終わっていればそれも可能です.平均的には20~21時ごろまでやっているスタッフが多いです.(というか早く帰ってください)

・徹夜: ありません

<今回求めているのは以下のような方です>

ずばり【即戦力】

1.現在設計事務所等にお勤めの方(中途採用)
2.過去に設計業務に携わっていた方
3.実務経験はなくとも、上記に準ずる能力を持つと認められる方

こちらは即戦力を求めていますので、スキルを重視します。資格の有無は問いません。CADはもちろん、設計から現場監理まで一通りのことができる人であれば尚可です。過去に携わってきた業務経験にかかわらず、弊社の業務方針にて、図面の描き方から業務の遂行に至るまで一から指導します。


条件が合いそうな方とは面談させて頂き,本人の意欲と我々との相性,スキルなど鑑みて相応しいと判断した方を1名のみ採用致します.別に早い者勝ちなどはありませんが,希望者が一定数を超えましたら一旦締め切らせて頂きます.

将来の夢や目標を明確に持っている人,とにかく建築が好き!という方は是非門を叩いて下さい.

【ご応募のながれ】

まずはメールか電話にてご連絡ください.その後履歴書を郵送して頂き,基本的な条件に適った方とは追って面接日を設定してお会いさせて頂きます(平日or週末).条件にぴったり来る方がいれば仮採用させて頂き,研修期間を経て本採用と致します.

メール: riota@riotadesign.com
TEL: 048-471-0260  担当: 関本まで

【はねだしテラスの家】オープンハウスのおしらせ

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狭小敷地に建ペイ率いっぱいに家を建て、余白に駐車場を設ける。
こうした典型的な都市住宅の建て方に対して、これまで使われることのなかった駐車場の上空についても目を向けて、その有効利用に踏み込んだ住宅です。

ダイニングから大きく道路側にはね出した2mのバルコニーは、この住宅唯一の庭であり、ダイニングの一部でもあります。内部は小空間を積み上げたようなスキップフロアによって構成されています。随所に設けられたニッチのようなスペースは、ジャングルジムのように子供たちの格好の遊び場になるでしょう。

ロフトを含め、延べわずか21坪の空間に、家族4人が暮らすのに十分なスペースを設えました。隅々まで使い切った最大気積の家です。


【はねだしテラスの家】オープンハウス(内覧会)
日時:2015年7月25日(土) 11:00~17:00 ごろまで

☆建築関係者のみならず、一般の方も自由にご見学頂けます。
☆お引渡し後の内覧会となります。小さいお子さんをお連れの方は、お渡しする手袋着用の上どうか手を離さずご見学下さい。
☆ご近所の方のご見学はご遠慮ください。

場所:埼玉県新座市
東武東上線『朝霞台駅』よりバスで約8分


見学ご希望の方にはご案内をお送り致します.関本までメール下さい.
riota@riotadesign.com

建築人として

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友人の一人が新国立競技場のプロジェクトに関わっていた。私は一人の友人として、彼の仕事が無事成就し、オリンピックの開会式を誇らしい気持ちで眺めることを楽しみにしていた。

新国立競技場建設計画の白紙撤回は至極当然であろう。国民の一人として心からそう思う。人はこれまで費やしてきた時間や費用、熱量が大きければ大きいほど、それらとの決別は難しくなる。ギャンブルと同じだ。それを断ち切れたことは、たとえそれが安保絡みの国民の反感を逸らすためだったとしても、英断だと思うし評価に値すると思う。

しかし私は建築に生きる建築人だ。
このニュースに安堵したと同時に、この計画の実現に向けて関わってきた多くの建築設計関係者の努力と膨大な労力を思うと、いたたまれない気持ちになる。そして友人の顔が浮かぶ。

彼らは一様に、この苦しい局面を乗り越え、晴れがましいオリンピックの開会式をいつか家族とテレビで眺める瞬間を夢描いていたに違いない。「このスタジアムの屋根はね、お父さんが設計に関わったんだよ」と我が子に語りたかった人もたくさんいただろう。

オリンピックがアスリートにとっての祭典であるならば、そのメインスタジアムの建設は建築人にとってのオリンピックであろう。ザハではない、安藤さんでもない、そんな市井のこのプロジェクトに関わった設計者たちの顔が私には浮かんでしまう。

もっとも彼らとしても、出口の見えない遂行困難な仕事を前にしての中止の報は、もしかしたら感情が落胆よりも安堵の方向に働いたことも想像に難くないが…。

しかしここから私のもう一つの懸念がはじまる。

着工直前まで行っていた計画が白紙化されて、残る時間で設計をやり直さなくてはならない。設計といったって、ニュースで流れるようなパースの絵を作るようなことではない。

何百枚という実施図面をゼロから描き直すことを意味するし、行政との折衝、技術的な解決もまた一からやり直しである。これはもう途方もないことなのだ。フルマラソンを走り終えたら、ここは折り返し地点ですよと言われたようなものである。報道のコメンテーターが、いとも簡単に設計がやり直せるようなことを語るとき、私はなんとも言えない違和感を感じてしまう。

さらに詰まった工期で、施工会社は必ず完成させることを迫られるだろう。そこに思いを馳せた時、この計画の真に殺人的な側面を思い知る。友人が再びこの災禍に巻きこまれることのないことを祈る。

これからの流れを予測してみよう。

政府は半年以内に代案の選定を行うと言っている。代案、おそらくは建築家は外されるのではないかと思う。この火中の栗を拾える建築家などいない。また国民にも決定的な建築家不信の根が植え付けられてしまった。

政府は二度と同じ過ちを繰り返さないために、そして限られたスケジュールで確実に予算内で納めるために、おそらくは”置きに”行くだろう。つまりもう冒険は冒さないということだ。

政治的に考えるならば、今回のザハ案の実施設計を行った日本の大手組織設計事務所がJVでその設計に当たるのではないか。きっと彼らには今回の件で膨大な技術と情報の蓄積ができているだろうから、最適解をどこよりも早く提示できるはずだ。

しかし一方で、経緯からいって社会からこれほどまでにバッシングを受けたプロジェクトだけに、きっと彼らも”置きに”行く。日本が最も得意とする設計手法「事なかれ主義的建築」になるのではないか。

そしてそれが発表される。するときっと世間はこう言うのだ。
「なんかさあ、つまんなくなっちゃったよね」
「折角のオリンピックなのに、華がないんだよなあ」

一方のゼネコンは、開会式が1年後に迫る段階になっても竣工が見えず、苛立った政治家からきっと証人喚問を受けることになるだろう。

あらたな国立競技場問題「終わらない工事、どうする?」

私はそんな政治に振り回される、ザハではない、安藤さんでもない、市井の建築人達の身の上を案じて止まないのだ。


タニタガルバコンテスト

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昨日はタニタガルバコンテストの授賞式があり、私は受賞者として、ではなくシンポジウムのモデレーター(司会)として呼んで頂きました。立ち位置は田原総一郎、もちろんこの役回りは初めてです。

テーマはずばり、建築と板金。どんだけコアなんだっていう。冷や汗かきながらも、なんとか乗り切りました。

受賞された山崎壮一さん、また成瀬・猪熊さん、おめでとうございます!どちらも素晴らしく、とても印象的な作品でした。

また、建築家の伊礼さんにもほぼ初めてお会いすることができました。もっとも、初めてという気はしませんでしたが笑

タニタさんらしい、アットホームで楽しい表彰式でした。今日はお呼びいただきありがとうございました!(来ていたOZONEスタッフさんからも司会業の打診を…。あまり知られてないかもしれませんが、私実は設計もやるんです)



『北欧とコーヒー』

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ライター・萩原健太郎さんの新刊「北欧とコーヒー」の献本が送られてきました。こちらでは、「北欧・コーヒーを愛する人たち」というコーナーで健太郎さんにインタビュー取材を頂きました。

「北欧とコーヒー」 萩原健太郎・著 (青幻舎)

同著では、ほかにも私の設計したカフェmoiの店主岩間洋介さんや、moiのオリジナルカップEclipseをデザインして下さった梅田弘樹さんも登場します。

思えばmoiを荻窪(現在は吉祥寺に移転)に設計して、早13年が経とうとしています。岩間さんも、梅田さんもそれぞれのスタンスでこれまで自身の仕事を積み上げて来られたわけですが、同じ本に3人が集うというのはおそらく初めてではないでしょうか(紹介のパートは異なりますが)。私はちょっとした同窓会気分です笑。


ところで、いつから「北欧=コーヒー」になったのでしょうか。

私が留学中は、”北欧のコーヒーはまずい”が留学生の間では合言葉でした。ついでに言うなら、北欧の料理もまずい、と。ところが友人の森百合子さんも「北欧のおいしい話」という本を出していますし(これを読むと実際においしそう!どこにそんなものが?と思うくらい)、ノルウェーのコーヒーチェーン、フグレンの進出もあってか、今では北欧のコーヒーはおいしい、おしゃれ、がキーワードになりつつあるようです。

実際、世界一のバリスタを決める大会で上位を独占するのは北欧勢ばかりという時代です。しかし私が当時フィンランドで呑んでいたのは、すっぱくて煮詰まった、場末の喫茶店で出てくるような代物でした。牛乳で半分くらいうめないと飲めない。だから、カフェにはどこも牛乳がジャグに入ってドンと置いてあるのでした。

いや、きっとその文化(?)はまだ残っているに違いないと思うのですが、この本に出てくる”北欧通”たちはみなこぞって、この「煮詰まった酸っぱいコーヒー」の話をしていて、私にとっては「そうそう、北欧のコーヒーといえばやっぱそれだよね!」とばかり、懐かしくなりました。


ところでもう一つ面白かったのは、前述の”同窓会”のごとくmoiの関係者が一同に会した(クドいようですが別々のページでの紹介で、実際には我々は会っていません)この著書で、私も、岩間さんも、梅田さんも、語っているのはカイ・フランクのことなんですね。

フィンランドデザインの良心といわれた巨匠デザイナー、カイ・フランク。私は建築ですが、その発想の源にいつも規範のようにあるのはアールトではなく、むしろカイ・フランクの方かもしれません。梅田さんはカイ・フランクに惹かれてフィンランドに渡り、カフェオーナーの岩間さんは、コーヒーカップの理想型はカイ・フランクだと語ります。

それを読んで、我々が当時どうして惹かれあったのかわかるような気がしました。そしてあれから10年以上の時を経てなお、我々はカイ・フランクなんだなあと。このことが気恥ずかしくも、とても嬉しかったです。健太郎さん、ありがとうございました!

Will Cafe

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姉が谷保で焼菓子のお店をやっています。Will Cafeというのですが、吉祥寺のカフェmoiなどにも卸しているので、知らぬ間に口にされている方も多いかもしれません。

もしかしたら身内の評価は当てにならないかもしれませんが、はっきり言います。かなり美味しいです(キッパリ)。いやほんと、いつもちょっと感動するくらいです。

事務所のお中元では、その年にお世話になった方にいつもWill Cafeのケーキを送ります。実際かなり喜ばれるのですが、今年はキャラメルジンジャーのケーキがかなり評判が良かったので、試しに自分でも頼んでみることにしました。

姉に連絡すると、私の息子の誕生日(昨日)だということでタダでいいと。しかも、特別にバースデーケーキ仕様で作ってくれました。(ありがとう!)

どうだったかって?
ちょっとありえない美味しさでしたよ。
気になる方は是非ご注文を!

[キャラメルジンジャーとナッツのケーキ]
http://www.will-cafe.com/?pid=78660350

はねだしテラスの家・オープンハウス終了

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本日「はねだしテラスの家」オープンハウス、無事終了しました。大変な猛暑の中、また少々不便な立地ではありましたが、お越しくださいました皆さまに感謝申し上げます。

住宅はわずか18坪強の敷地に、計4つのフロアをスキップさせながら積層させた住宅です。高い吹き抜けと、将来子ども部屋となるロフトが空間を特徴づけています。


いつもこういうロフトを作ると、子供たちに大人気となります笑。子どもは猫に近いのでしょうか。少し高くて小さな空間があると、そこに自分の居場所を作ろうとします。

今回はそれに加えて、スキップした中間階にも小部屋を作り、来場者の方からは「ここは何の部屋なんですか?」と訊かれましたが、それは私にもわかりません笑。きっと住まい手の生活が定まった頃に、その部屋にも用途が与えられていることでしょう。


ダイニングから延びた先には、今回のタイトルにもなっている”はねだしテラス”があります。外壁から2mもはね出したテラスというのはあまり見ないかもしれません。しかも北側に。

北側のテラスって、結構いいんですよ。テラスは単に洗濯物干す空間だと思っていませんか?ここには洗濯物は干しません。植物を置いたり、ここでお茶を飲んだりします。小さな子どもを遊ばせるのもこんな場所が良いかもしれません。秋になると涼しい風が吹き抜けることでしょう。


ご来場下さった方は、この掟破りのテラスがどのように構造的に処理されていたかお分かりだったと思います。意外とシンプルにやっています。

こういう”庭”のような余剰空間があるだけで、住宅というのは一段と広がりのある表情を見せてくれるものです。


さて、そろそろこの住宅の核心に迫りましょうか。

この住宅はとてもローコストにできています。ご来場下さった人の目にはそう見えなかったと思いますが、実はそうです。いくらだったかは言いませんが。(工務店に口止めされています笑)

そんなにオトクならお願いしようかしら、と思われるかもしれません。ただ我々は安請負をしません。なんといっても完成させなくてはいけない責任がありますから。だから「それじゃ無理」と思えるときは、お仕事を安易にお引き受けしないようにしています。

実はこのクライアントさんがうちにいらした時、とてもご予算が厳しく、今だから言えますが、正直「それじゃ無理」って思いました。責任持てないと思ったんです。でもすごく純粋で、まじめな良いクライアントさんだったんですね。

それでも心を鬼にして、ずっとお断りしていたんです。はっきりとは言いませんでしたが、それじゃ無理です的なニュアンスをずっと含ませてお話ししていました。


すると、ある時ぷつりと連絡がなくなったんですね。あぁ諦められたのかなあと思っていたら、メールが届きました。そこにはこう書かれていました。

「関本さんにお願いできないんだったら、もう家は建てなくていいと思っています」

これは効きました。もうガツン!という感じです。
このクライアントはここまで覚悟を決めている。ここで受けなくてどうする?そう思いました。


そうなんです。家づくりは覚悟なんです。家を建てるという覚悟。その人にお願いするという覚悟。そしてその覚悟を決めた人に対して、我々も覚悟を決める。そういうものだと思います。私は腹をくくりました。そこからはトントン拍子で話は進みました。

このクライアントさんがすごいなと思ったのは、覚悟ともうひとつ、相手を信じる力です。我々の提案をすべて受け入れ、全幅の信頼でお任せ下さいました。

なにより、我々がご提案する度に目を輝かせて感激して下さるんですね。我々も気づけばずいぶん乗せられてしまいました笑。いつしかこのクライアントさんに喜んでもらいたいと、心から思うようになっていました。


私が思うに、家づくりで得をする人というのはこういう人だと思うんですね。人を信じることの出来る人。文字通り、得というのは徳なんでしょう。すべては人徳がなせる業なんですね。

今回の仕事では我々も勇気をもらいましたし、貴重な経験もさせて頂きました。
やればできるんだなあ、とも笑。

そんなクライアントさん、そして意気に感じて素晴らしい施工をして下さいました和光建設さんに、この場を借りてあらためて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました!

花火

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5年ぶりの志木市民花火大会。混雑を考えると、荒川の河川敷まで行くのは気がひけるなと思っていたら、家の前の通りからもこんなに大きく見えました。

日常の景色に非日常が重なって、思いのほかの感動でした!


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