Quantcast
Channel: リオタデザイン|建築設計事務所
Viewing all 1481 articles
Browse latest View live

A-FLATが見えてきました

$
0
0


代々木八幡/代々木公園の集合住宅(A-FLAT)もようやく足場が外れました。

テナント、バレエスタジオ、賃貸住戸x4戸、オーナー邸x2戸という実に複雑なプログラム。工事も着工したのが去年の9月ですから、もう1年くらいやっていることになります。長っ!戸建住宅ならもう3~4件分くらい仕事した気分です。

木造の場合は上棟時にまず全体形が現れ、そののちに幕が張られて数ヶ月後に足場が落とされます。最初に全体を見ているので、その時に壮観だなあとか、意外とコンパクトだなあとか、印象が植え付けられるのですが、RCの場合は下階から打ち上げられてゆくプロセスがすべて”幕の内”となるため、全く全体形が見えないんですね。

で、今日初めて対面しました。本当に不思議な気分です。

この不思議さ加減をどう表現したら良いでしょう。例えて言うならば、我が子が生まれたのに全く会わず、初めての対面が成人式でしたみたいな。うわっ、知らないうちに大人になってる!?みたいな。

そっか、お前こんな顔だったんか。

顔を見たのは初めてでしたが、もちろん設計者ですから、中身のことはすべて熟知しております。その辺の教育はしっかりしてきたつもりです。


外観を特徴付けているルーバー手摺りは、リオタデザインの住宅ではおなじみのものですが、ここでは天然木ではなく合成木といって、樹脂とおが屑を混ぜて作ったような素材で作っています。

高所なので、メンテナンスフリーとするためです。でも機能は同じ、通風を確保しつつも洗濯物を見せないバルコニーになっています。あ、天端はちゃんとカバーが付きますよ。


5階のオーナー邸からは新宿副都心が一望できます。きっと夜景がきれいでしょうね。6階のフロアからは、今度は代々木公園の緑が独り占めできます。


賃貸ルームは一部コンクリート打放し。なかなかクールです。

写真の住戸にはオリジナルのアイランドキッチンも付きます。代々木八幡/代々木公園駅より徒歩3分の一等地です。渋谷・原宿は徒歩圏内。そこのオシャレなあなた、一部屋借りませんか?

・タカギプランニングさんの賃貸情報
http://www.t-p-o.com/rent/A02.php?property_id=273

今のところ内覧会を9月5日(土)に予定しています。
また近くになりましたら、この場でも告知させて頂きますね!


タニタプロジェクト・Part2始動!

$
0
0


さて3月で完結したかに見えたタニタプロジェクト、まさかのPart2が始動です(とうとう、うちのブログにも「タニタ」のカテゴリができてしまいました)。前回、開発中のくさり樋を実験的に既存の住宅に付け替えるまでのプロセスを追いました。

タニタプロジェクト(最終章・取付け編) 15.3.9
http://www.riotadesign.com/blog/tntpj.html

その後、このくさり樋はこの夏~秋にかけての発売を目標に現在も調整を続けておられるそうです。開発担当者であるタニタハウジングウェアの岡田さん&関口さん(以下OSコンビ)も今ではスケジュールを睨みながら各方面の尻を叩く日々だとか。いつもは美しい岡田さんの顔が、般若のようになっている姿を想像して震えています。


で、今回持込みの案件はこれ。
現在柏で進行中の「暁の家」で、バルコニーからの排水管が軒天井から出てくるのですが、そこを縦樋ではなく、くさり樋で落とせないかというもの。

なんだ、そんなことかと思うでしょう?
ちっちっち。これだから素人は困る(失礼!)

これ意外と難しいんですよ。くさり樋に接続する前に一度管を絞ってやらないと、水が周りに飛び散って前回の「竹林の家」の二の舞になってしまうのです。

そこでこんなことを考えました。
VU管の出口でこんな感じに絞るパーツを作れませんか?と。で、なんならこれが既存の不具合を起こしているくさり樋をワンタッチで交換できるものになれば、世のくさり樋問題が一気に解決します。

新築もいいけど、くさり樋の魅力を世に広めるためには、絶対に付け替え需要に応えるべき!と無駄に熱くOSコンビに口説き続け、このプロジェクトもようやく前に向けて進み始めました。


しかしそれに応えるOSコンビの熱意がすごかった!さすが社長が修造並にアツい会社です。

私の思い付き(もしくはムチャぶり)に真正面から応えてくれました。実にたくさんの試作品を持って事務所にやってきました。え、これ全部作ったんですか?どん引き 感激です。写真に写っていないものもいっぱいあります。

たださすがOSコンビ、そんなものをたくさん見せて相手を撹乱させておきながら、ちゃんと答えは用意してあるわけです。で、こんな感じでと最後に見せられた図面にはバッチリ解決が示されていました!(最初から見せればいいのに)

やはり私もモノづくりの人間です。商品開発って本当に楽しいですね。私も外野ながらにいろいろ意見を言わせてもらいました。

やはり、タニタ製品の魅力は設計者に寄り添う製品思想だと思うんですね。メーカーの一方的な思惑で作り込み過ぎちゃいけない。設計者が自由にアレンジして使える余地を残してもらいたい。あんな場合や、こんな場合。あんな使い方や、こんな使い方。

最後はまだどうなるかわかりませんが、来月には試作パーツも上がってくる予定だとか。このプロジェクトの行方もどうかお楽しみに!

暁の花火

$
0
0


昨晩は各地で花火大会があったようですね。

現場(暁の家)が進む柏市でも昨日は花火大会があり、この日は隣接する我孫子市でも同時開催。花火が”ステレオ放送”で見られるかも?とのことで、クライアントのSさんが「一緒に現場から見ませんか?」とお誘いを下さいました。

数日前に志木市の花火を見た話を書きましたが、さすが柏スケールが違います。現場からは我孫子の花火とちょうど重なり合うように見えたのですが、志木市の花火のフィナーレのような豪華さで、終始圧倒されました!


家から毎年こんな眺めが見られるのかということで、Sさんご家族も大喜び!ダイニング脇に設けるパーゴラのあるデッキテラスが毎年の特等席になりそうです。

家づくりにあたっては、途中不安になったこともあったという奥様も、ここに住むことができて本当に良かった!と終始幸せそうで、こちらもそんな幸せのお裾分けを頂きました。仲の良い、本当に素敵なご家族です。


この家のタイトルにもなっている「暁の家」は、大自然のような敷地の中でも特に東側に大きな抜けを持ち、ここから昇ってくる朝日が一家を照らしますように、という思いが込められています。

この東側には2階にも通称「月見テラス」が設けられ、ふと物思いに耽ることができるのですが、この日はこのテラスから文字通り大きな満月を見ることができました!都内では見ることのできない幻想的な風景でした。


最後には、この満月と花火の競演!
なんという贅沢。

この日も車載温度計では、日中は40度に届こうかという日だったのですが、現場に到着した途端に空気がひんやりしています。ここは周囲を自然に囲まれ、川の上をそよいでくる風が絶えず建物に向かってきており、その風は止むことはありません。外に出ていても汗が出ることがないというのは、この季節でも信じられない体験です。

でもその昔は、夏の暑さもこんな感じだったような気もします。まさに絶滅危惧種のような微気候が、奇跡のようにこの場所には残っているようです。

この家で営まれるであろう生活を想像しながら、ウラヤマシイ!という気持ちと、完成を待ちわびる気持ちが相半ばしております笑。Sさん、昨晩はありがとうございました!

向日葵の家

$
0
0


梅雨時に雨天が続き、竣工後半年してようやく「西荻の家」の竣工撮影。

道路側のルーバーの前には、クライアントの植えたひまわりがびっくりするくらい繁っていました。一瞬、「向日葵の家」に改名しようかと思ったくらい笑。

いやこれがとっても良くて、クライアントは私に怒られると思ったみたいですが、そんなことないです笑。住まい手の活き活きとした生活が、住宅の表情になって表れていますね!

越後妻有・その1

$
0
0


越後妻有アートトリエンナーレ(大地の芸術祭)に行ってきました。

行くのは、もうこれで3回目なので、もう 6年越しで通っていることになるでしょうか。場所性や環境と一体となったアートのあり方は、より建築に近く、いつも大変刺激を受けます。

「越後」というのは、そもそも「山を越えたもっと向こう」みたいな意味のようで、「妻有(つまり)」というのはさらに「とどのつまり」ということで、本当に”地の果て”というような意味だったそうです。

そのくらい、この山深い豪雪地帯というのは人を寄せつけない地域だったようで、この地を開拓し、棚田を耕作した先人達の苦労は並大抵のことではなかったと想像します。

それが今では、この大地の芸術祭のために全国から人がやってきます。どこに行っても大盛況。昔の人は、こんなこと想像もつかなかったに違いありません。

地図を片手に訪ね歩くというスタイルは、美術鑑賞というより宝探しに近いでしょうか。今年も新作が追加され、何度来ても飽きることはありません。





越後妻有・その2

$
0
0


子供が生まれる前は余裕もなく、生まれてからは周囲に気を遣い、泊まるといえば無難なホテルか安い宿と相場は決まっていました。

衣食住は人にとってなくてはならないものですが、その幅は「寒くなければいい、腹が膨れればいい、雨漏りしなければいい」というところからはじまり、行き着くところは究極の豊かさ(アート)まで様々です。

私もこの歳になり、本当の豊かさとはどういうことか、人をもてなすホスピタリティとはどういうものなのかということについて、考えさせられる機会が多くなってきました。

子供も少し大きくなったので、ただ「泊まれればいい」から、少し高い授業料を払ってゆこうかと思っています。

里山十帖 http://www.satoyama-jujo.com






越後妻有・その3

$
0
0


越後妻有の滞在中、一番何が楽しかった?とうちの子に聞いたら、すぐさま「MTB!」と答えが返ってくるでしょう。そのくらい楽しかったそうです。もちろん私も最高に気持ちよかった!

里山十帖の早朝マウンテンバイクツアー。もし宿泊される方がいらしたら、是非これは参加してもらいたい。コースは上越国際スキー場の山頂から、ずっとスキー場のツアーコース沿いにMTBで滑降してゆきます。

ミソはずっと下り坂だということです笑
里山の自然や棚田を眺めながら、約1時間半の滑降は体感的にはあっという間でした。

MTB最高!ただし下り坂限定ですが。




伊礼事務所に

$
0
0


お盆に入り、事務所もしばし夏休み。そんな休みに入る前、タニタハウジングウェアの谷田社長(写真左)と、建築家の伊礼智さん(写真右)の事務所にお邪魔してきました。

伊礼さんは、今や日本一人気のある住宅作家さんと言っても過言ではないかもしれません。和モダンの端正な作風と、美しいプロポーションを持つ機能的で柔らかい室内空間が印象的で、「ディテールの標準化」「普通の家」といった、少し前なら建築家が絶対言っちゃいけなかったキーワード(?)の”タブー”を初めて破った方かもしれません。

でもそれは私も住宅設計を志した時から、ずっと漠然と思っていたことだったので、伊礼さんの作風や言説にはとても共感する部分は大きかったです。そしてそれは時代の空気であったようにも思います。

一方で伊礼さんの方法論は、あまりに歯切れが良くわかりやすいだけに、良くも悪くも多くの亜流を作り出しても来ました。ある人は意識的に、ある人は無意識に。

そして私もその例外ではなく、今では試行錯誤の末に自分のものとなりましたが、そのディテールの幾つかは事務所の初期の礎を作るのに欠かせないものであったことは、隠さずここで告白しておこうと思います。

伊礼さんは私にとっては雲の上のような方ですが、タニタガルバコンテストのトークイベントでご一緒してから意気投合し、今回このような席を谷田社長の計らいで設けてもらいました。

あらためてじっくりお話をお伺いして、住宅に対する考えや仕事に対する考え方など、僭越ながらとても共通点が多かったですし、臨床医的な、あるいは町医者的な建築家のあり方に、私の背中もあらためて押していただけたような気もしています。

その後も事務所のある目白の街を転々と…。熱い話が夜遅くまで繰り広げられたのでした。伊礼さん、谷田さん、どうもありがとうございました!


スケープゴート

$
0
0

デザイナー佐野研二郎氏のエンブレム問題で、毎日のように新事実が発覚したり、これも盗用じゃないかとか、はたまた佐野氏の人脈図をあげつらってみたり、私は毎日こういうネタを見る度に心底うんざりする。

みんな、どうして一人のデザイナーの足を引っ張ることにそこまで執着するのだろう。どうして世の中の人は自分には関係ないことに、そこまで執心して騒ぎをどんどん大きくしようとするのだろう。

私にとって、そのデザインが盗用であるかどうかなんてどうでもいい。そのデザイナーが清廉潔白かどうかなんて自分には関係ないことだ。

それが本当に盗用なら、そこに悪意があったのなら、私はその人を軽蔑するだろう。そのデザインを自分の中で葬るだろう。ただそれだけのことだ。あるいは、私がお金を払って依頼した人に、そんなことをされたら私は本気で怒るだろうが、今回別に私の懐はちっとも痛まないし、不利益や実害もない。

今回騒いでいるのは、どうやら依頼主ではないようだ。じゃあ誰が騒いでいるのか?パクられたと言って怒っている人もいるが、多くは関係ない人たちである。もうちょっと言うと、オリンピックすらもどうでもいいと思っている人たちである。

私は佐野氏の五輪のエンブレムは好きだ。良いデザインだと思う。
会見を見る限り、私は彼は嘘を言っている人だとは思わない。

トートバックの件なんて、もっとどうでもいい。サントリー商品を買って、やっとお目当てのデザインを手に入れて、それが盗用だったことがわかったとする。私でもそればかりはがっかりするかもしれないけれど、「まじかよ」とかいって「佐野のやろう!」とかちょっと毒づいて、でもそれでおしまい。だってキャンペーン賞品だし。

もちろんキャンペーン賞品にだって、デザインのモラルはある。でもどうも論点がずれているようだ。詰まるところ、それはトートバッグが問題なんじゃなくて、エンブレム(=権力)にケチをつけたいがためのスケープゴートなのだ。

私が許せないのは、あたかもデザイナーのモラルとか良心とか言っておきながら、「賞賛の嵐!デザイナーが1時間で作ったオリンピックのロゴが話題」てどうよ?てこと。よくもまあ、同じデザイナーとかいう肩書きを謳っておきながら、こんな失礼なことをするもんだと思う。

挙げ句の果てには「佐野研二郎氏がデザインした東山動植物園のマークが、コスタリカの国立博物館のマークと似て」て、おい。どーでもいいわ!

人を勝手にクロと決めつけて、こてんぱんにやるというのが最近の風潮らしい。魔女裁判か。趣味が悪いとしか思えない。

建築知識9月号・DVD解説

$
0
0


現在発売中の「建築知識9月号」(エクスナレッジ)はRC造特集ですが、こちらに付属のDVDにて現場解説を担当させて頂きました。

現場はまもなく竣工のA-FLATです。現場からは、現場監督の小原さんがアルミサッシュ取付けの解説を行っているほか、私はLGS(軽量鉄骨間仕切り)や二重床、内部打放しの補修などについて解説させて頂いています。

オマケとして現場定例の様子なども。
(DVDの17:50頃からA-FLATの現場取材分となります)


といっても、一般の人にはマニアックすぎる内容なので、おそらく手に取られる方はいらっしゃらないと思いますが、建築関係者で9月号を手に取られた方は、是非DVDの方もご覧下さい。

正直言うとですね…、私も雑誌に付属のDVDというのはあまり見ないんですね。
今回もまあどれだけの人に見てもらえるかはわかりませんが、これ見ると意外と面白くて結構勉強になるんです。知っているようで知らない内容もいろいろあります。

内容としては現場の基礎知識的なものですが、設計事務所スタッフの方などはこれで良く勉強して頂ければと思います。

また予告となりますが、11月号のDVD企画でもまた解説を担当させて頂く予定です。こちらは木造屋根特集ということで、気になる”あの方”とも共演させて頂く予定。こちらもどうかお楽しみに!

【A-FLAT】オープンハウスのおしらせ

$
0
0


敷地には60年ほど前より、この地で精米業を営んできた小さなお米屋さんが、ビルの谷間に挟まれるように建っていました。昔は小さな軒を連ねた商店街も、時代の流れの中で商業ビルに建て替わり、辺りの景観はすっかり様変わりしたそうです。

計画は、これを期に隠居をされるご夫婦とそのご家族という2戸のオーナー住宅、4戸の賃貸住宅、そしてバレエスタジオとテナントといった複合用途を内包した集合住宅として進められました。設計においては、富ヶ谷という街の歴史を作ってきた商店主に対する敬意、そしてそこにあった精米店の面影を残す温かみを、この場所に深く刻むものにしたいと考えました。

我々が得意とする木造戸建住宅とは作法が異なり、いつも以上の産みの苦しみも味わいましたが、2年半の時間を費やしようやく着地点を見い出すに至りました。クライアントの志を受け継ぎ、建物がこの界隈のあたらしい顔を作り、良い波及効果をもたらしてくれることを願っています。


【A-FLAT】オープンハウス(内覧会)
日時:2015年9月5日(土) 13:00~18:00
ごろまで

☆建築関係者のみならず、一般の方も自由にご見学頂けます。
☆お引渡し後の内覧会となります。小さいお子さんをお連れの方は、お渡しする手袋着用の上どうか手を離さずご見学下さい。

場所:東京都渋谷区富ヶ谷

小田急線『代々木八幡』駅
メトロ千代田線『代々木公園』駅
より徒歩1~3分


見学ご希望の方にはご案内をお送り致します.関本までメール下さい.
riota@riotadesign.com

☆現場は現在絶賛工事中!?





大人のやり方

$
0
0


友人の建築家・佐藤布施建築事務所のオープンハウスに行くと、いつも凝った建具と無垢材をふんだんに使った家具があるんですね。

いい仕事だし、ずいぶん贅沢だなあと思って、でも工事費聞くと安いわけです。聞くと”新潟の建具屋さん”に作らせているとのこと。いつもここを指名しているようです。

でも”新潟の建具屋さん”以上の情報は教えてくれないわけです。こいつは隠し球だな?と思いましたよ。でもね、どんな仕事にだって企業秘密ってやつはあるもんです。

にしても口を割らない。その割にオープンハウスでは、良心的でウデの良い”新潟の建具屋さん”をちょいちょい自慢してくるわけです。羨ましい。いつか盗んでやるっ!

というわけで盗みましたよ。

今回は佐藤布施事務所でも使う工務店にお願いしていますからね。いわゆる大人のやり方ってやつです。監督から聞き出しましたよ。今回の建具と家具はここにお願いしますよ。新潟から来てますよ。

引き抜いた後はどうなるか?

すべて佐藤布施事務所が懸念しているとおりです。
その辺もね。まぁ、大人のやり方ってやつです。

DVD取材

$
0
0


今日は「建築知識」の動画取材で寄居の緩斜面の家と、草加の隅切りの家へ。埼玉県内を縦横無尽。クライアントの皆さま、ご協力を下さいまして誠にありがとうございました。

取材は11月号の屋根特集に付属するDVDの撮影で、リオタデザインの住宅を私が自ら現地解説するというもの。9月号に引続いての動画取材です。

緩斜面の家と隅切りの家は、もう既にいくつもの媒体にご紹介させて頂いていますが、空間の見所もさることながら、いつ行っても美しく設えて下さっていることや、取材にもいつも快くご対応下さるので、ついつい私の方も推薦の言葉が出てしまいます。おのずと取材が重なる結果となるわけですが、いつもご負担をおかけして申し訳ありません…。

(しかも隅切りの家では、むちゃ振りでクライアントのインタビューまで…)

それにしても最近はこの手の取材協力が多くなってきました。普通のカメラならまだしも、動画のカメラを向けられると以前は頭が真っ白になっていましたが、最近はずいぶん慣れました。来週はスタジオ収録です。

だんだん、職業が変わりつつあるのを感じます。

ホテルオークラ

$
0
0


今日は外出中に、今月いっぱいで閉館し解体されるホテルオークラ本館のことを急に思い出し、急遽立ち寄ることにした。なんだか行かないと後悔する気がしたからだ。

この夏はSNS等で、このホテルオークラの写真をこれでもかというくらいに見た。自分が行ってきたことを皆アリバイのように載せるからだ。この日もオークラはすごいことになっていた。そして皆片手にはスマホ。きっとみんなリアルタイムにSNSに投稿しているに違いない。

そして私もやっぱり写真など載せてみる。
へそ曲がりの私としては少し悔しいが、アリバイのためである。

皆口々に惜しむ声。海外からも保存を求める声。わかる。本当に素晴らしい空間だし、今日はわざわざ来て本当に良かった。今これを壊したら、もう二度とこの空間は作れない。その通りだろうな。なんとかして残して欲しい。それも人情だろう。

でも私はこう思った。
この本館の担ってきた役割は終わったのだと。

ホテル全体で眺めてみたときに、やはり老朽化は否めない。52年間もこの空間を改変せずに、このまま使い続けてきたホテルの営業努力をむしろ称えるべきであろう。

もちろんリノベーションによって蘇るものはある。しかし如何せん古い。これはもう歴然とした事実として受け入れなくてはならないだろう。埃のかぶった店子を見るにつけ、また現代のホテル事情から大きく取り残された感のあるサービスの器としても、私の目には限界に映る。これじゃあ生き残れない。残念だけれど、ホテル側の決断は極めて妥当なものだろうと思う。

恥ずかしながら、私もホテルオークラに足を運んだのは今日が初めてだった。そしてスマホ片手に熱心に写真を撮っていた人達の中には、都内に泊まるときはいつもオークラです的な方もいただろうが、おそらく多くの方にとってはこの日がオークラ初体験であったに違いない。そしてその人達が、皆口々に別れを惜しむ。

なんだかそれを見ていたら可笑しくなってしまって、これまで一度も足を向けたことのないお爺ちゃんの入院先に、「そろそろ危ない」の声を聞いて、ゾロゾロと見知らぬ親族たちが集まるシーンを思い浮かべてしまった。

あの、どちら様でしたっけ?
えっと、従兄弟の叔父の奥さんの友達です、みたいな。(友達かよ)

私ですか?
えっと、その友達の、そのまた知り合いの知り合いです。くらいの関係かもしれない。

でもこうやって、別れを惜しむという事が大切なんだろうな、とこの日もしみじみ思った。みんながお爺ちゃんはこんなすごい人だったんだって、これまで不義理ばかりしてきたけど、最後はみんなでお爺ちゃんの話をして温かく見送ってあげよう、ていう気持ち。きっと、オークラ本館も大往生に違いない。

でもたぶん新しいオークラができたら言うだろうな。古いオークラの空間はね、って。一度しか行ってないけど。若いの前にして、偉そうに先代の偉業語るみたいな。

友達の、そのまた知り合いの知り合いのくせにね。

蔡國強展

$
0
0


昨日はオークラの前に横浜美術館の蔡國強展へ。
蔡國強(ツァイ・グオチャン/さい・こっきょう)は今気になる作家さんの一人。皆さん知ってますか?蔡國強。すごいんです、もう強烈に!

中国出身で、間違いなく今アジア最強の美術家だと思いますが、北京オリンピックの開会式の演出も彼の手によるものだと聞けば、少しはイメージしてもらえるかもしれません。

火薬という中国の4大発明品の一つを操り、人類が殺戮の道具として使ってきたそれをアートの手段として使います。そのスケールの凄さは、もはや美術館の中では納まりきれません。是非会場でその映像を見て頂きたいと思います。

私はアートとは、「人類がその叡智や創意、努力を結集させて、ようやくその指先がちょこんと触れることのできるもの」だと思っています。それはいわば、一般の人から見たらもう人知を超えているわけです。超人的仕事。

それは美術家でなくとも、市井の仕事の中にも稀に見ることができます。一部の建築家や職人さん、料理人やエンジニアも含めて、人智を越えた仕事を見るたびに私はそこに”アート”を感じるのです。

蔡國強の仕事にはそれがあります。ああ人間は創造する力によって、ここまで限界を超えることができるのだと思わせてくれる。アートの力ですね。そのたびに仕事で「そんなの無理」とか思っていた自分が恥ずかしくなるのです。

そうか無理なんてないんだ。自分を縛り付けている仕事のリミットを外して、もう一歩前に!私が時間を惜しんでアートを見に行く理由がここにあります。この日もまた、大きな勇気をもらいました。

蔡國強展『帰去来』|横浜美術館
2015年 開催中~10月18日(日)まで 
http://yokohama.art.museum/special/2015/caiguoqiang/


[西荻の家]写真をアップしました

$
0
0


今年2月に竣工した西荻の家(T邸)の写真を以下にアップしました。
是非ご覧下さい。今回の撮影は繁田諭さんです。

[西荻の家]
http://www.riotadesign.com/works/15_nishiogi/#wttl

当初撮影は6月くらいに考えていたのですが、それから梅雨にたたられ、延期を繰り返しているうちに8月になってしまいました。ですが季節は夏!クライアントが道路際に植えられた向日葵が、あっという間にルーバーの高さを超えてしまうというハプニング。

ルーバーは道路側からほとんど見えなくなってしまいましたが、逆にこの状況はいかにも夏らしくてイイですね。私はすっかり気に入ってしまいました。(一瞬、タイトルを「向日葵の家」に変えようかと思ったほど)

惜しむらくは、この撮影の2日後に向日葵も満開になったそうです。でも・・そうしたら完全に建物は向日葵に喰われてしまったかもしれません笑

この家の魅力は、なんといってもふんだんに使った自然素材の競演でしょうか。壁には全面的に漆喰を使い、天井にもレッドシダーが惜しげもなく使われています。

すべてはクライアントとの協働作業によるもので、その作業はラジオのチューナーを合わせるが如く、いかにクリアな音質でその空間性を響かせるかという点に最も労力を注いだ住宅でした。

繁田さんも、素晴らしい写真をありがとうございました!



ゆるキャラの時代

$
0
0


とうとうエンブレムが白紙になってしまった。

この件を巡っては先にも書いたし、今もなお言いたいことはいろいろあるけれど、今はただ佐野氏からの声明を読み、同じ創作に関わる身として、またスタッフや家族を持つ身として、そして人として、私は佐野氏に心から同情する。

今朝の朝日新聞における加島卓氏(東海大准教授)のコメントに、すごくストンと落ちるものがあったのでご紹介したい。

「(前略)専門家によるデザインで満足するより、ゆるキャラのように、隙のあるデザインを応援しながら育てて楽しむのがネットの発達した今の市民参加型社会」

実は昨日もスタッフに話していた。こうなったら、もう「ゆるキャラ」しかないのではないかと。

加島氏の言うように、今の社会は確実に「市民参加型社会」になっていると思う。かつては、「デザインや建築のことは一般の人はわからないだろうから、専門家が決めてそれを発表すればいい」というのが通例だった。今回もそれを踏襲している。いわば「大本営発表型社会」である。

しかしどうだろうか。ここまで情報を同時に共有できる世の中になると、情報が得られない”ブラックボックス”である状態が、社会的不安や不快感を引き起こしてしまう。

安保法案だってそうだ。主権は国民にあるはずなのに、決定はブラックボックス(国会)の中にある。「というわけで決まりました」という大本営発表をそのまま受け入れられる時代ではないということを、政治家も気づいていない。

そして、それは建築やデザインだって同じなのだ。

お笑いのチャンピオンを決める番組で、会場の審査員とは別に”お茶の間審査員”と称して、視聴者が自由に面白かったと思える芸人に票を入れることができるシステムがある。地デジならではの双方向の情報共有化がなせる業であるが、いわばそれである。

会場の審査員は”専門家”であるので、一般の人ではわからない細かい技術的なことを審査すれば良い。もちろんそこには、審査員から見た「面白い/つまらない」という指標もあるだろうが、審査員が笑っていなくたって、お茶の間が笑っていればそこにはお笑いは成立しているのだ。

今回社会が言っているのはそういうことなんだと思う。

それが美しいかどうか、優れた案かどうか、使いたい!と思えるかどうか、そんなの使う人が決めれば良い。専門家から見て、少々デザイン的に詰めが甘かったり、展開性に欠けていたりしても、みんなで決めたものであればそれでいいんじゃないか。

それが「ゆるキャラの時代」なのだ。

この時代、くまモンやふなっしーを越える”エンブレム”はあるだろうか。お茶の間の誰からも愛され、テレビにも引っ張りだこのアイコン。展開性という意味では、今回のエンブレムを越える展開性である。なんてったって、足が生えて歩いているのだから!しかもふなっしーはしゃべるのだ。

あれがデザインだって?冗談じゃない!
まあまあ、そう怒らないで。

じゃあ、佐野氏の後にどんなエンブレムがイイと思う?ザハの後にどんな競技場があると思う?その案出した人、超バッシングされると思うけどわかってる?耐えられる?そんな勇気ある?

我々の住宅設計も同じなのだ。昔のように、寒くても暑くてもいいから安藤忠雄先生の家に住みたい!という時代ではない。

たとえ、そのことで多少デザインが丸くなることがあったとしても、設計のコンセプトが多少ぶれることがあったとしても、みんなで決めたことがこの時代には相応しいアイコンなのだ。

なにあの窓?笑、とか、この屋根おもしろーい笑、という具合に、末尾に「笑」が付くようなもの。「笑」は共感のサインである。優れた建築やデザインは今や総”ゆるキャラ化”していると言っても過言ではない。証拠に、佐野氏がブレイクした代表作にはauのLISMOもあるのだ。

で、ここからは私の提言。

新しいエンブレムは公募で選ぶらしい。であるならば、膨大に集まった応募案を1次選考でふるいにかけ、100作前後をネットに公開すべきである。

そこには自由に市民がコメントを書き込んだり「いいね!」したりして、人気を見える化したら良い。でもネット上では意見が偏るし、操作も入るからそれは審査には加点しない。ただ世論として共有すれば良い。

次の二次選考では専門の審査員が自分の意見と世論との間でバランスを取り、5作品程度を最終選考に残す。この時点では「2ちゃんねる審査員」が徹底して類似案がないかをググって検証する。

最後の5作品から1作品を選ぶ過程は、テレビで生中継である。もちろん会場の人や、お茶の間審査員も投票できる。実況は松岡修造だろう。デザイナーが思いの丈をプレゼンし、いよいよCMをはさんで発表!

発表は、そうだな、東京オリンピック開催を「TOKYO 2020」と書いた札で表現した、あの外国人が良いだろう。抱き合って喜ぶ滝川クリステル。

絵が浮かぶようだ。

エーディで教わったやつ

$
0
0


私が大学を卒業して飛び込んだ事務所は、建築家・棚橋廣夫先生の率いるエーディネットワークという設計事務所だった。入ってすぐに集合住宅の担当になり、立て続けに次もワンルームマンションを担当させてもらった。

今でもよく思うのは、大学を出て最初のキャリアというのはとても重要な意味を持っていて、その時選んだ選択肢というのはその人のその後のキャリアにも大きな影響を及ぼすように思う。

私で言えば、言うまでもなくエーディネットワークで学んだことが全てなわけで、血気盛んな頃は、それでも他の事務所の仕事を見てみたいと思ったこともあったけれど、結果的にエーディでの仕事しか知らなかったことで、筋の通ったキャリアをその後も歩めているような気がする。

棚橋先生はとにかくディテールに一家言ある人で、派手さはなくともちゃんと基礎を押さえるということを、それこそ千本ノックのように繰り返し学んだ。今リオタデザインが”ディテールのちゃんとした事務所”というポジションを築けているのは、ひとえにエーディネットワークでの修業時代があってこそだと思っている。

それはさておき、私にとって集合住宅やRC監理のイロハを学んだのがエーディだったこともあり、私の初集合住宅はどうしても棚橋先生に見てもらいたかった。そこで5日のオープンハウスに先がけて、まだ絶賛工事中の現場を今日はご案内させて頂いた。

エーディで学び、そのノウハウを独自に進化させてきたという自負のもと、棚橋先生がそれについて何とコメントするか。もうね、緊張ものですよ。

私「見て下さい。これはエーディで教わったやつですよ!」
棚橋先生「もうね、そこにはあまりこだわってないんだよね」

ええ~っ!?
エーディでの6年間を返してくださいと思いましたが、かろうじて呑み込みましたよ。

現場は5日のお披露目に向けて着々と、仕上がって・・仕上がって・・いるのかなあ?とっても不安ですが、外構・植栽を担当して下さったいつもの”ストライカー”こと湊さんは絶好調で今回も仕上げて下さいました。

久しぶりにお元気そうな棚橋先生のお話しもいろいろ聞けて、今日は盛りだくさんな一日でした。

A-FLAT・オープンハウスを終えて

$
0
0


昨日をもちましてA-FLATは無事竣工し、午後にオープンハウスを開催させて頂きました。本当にたくさんの人にご来場頂きました。足をお運び下さった皆様、誠にありがとうございました。

オープンハウスのご案内文にも書きましたが、ここには以前より古いお米屋さんがあり、不思議なご縁もあって、今回我々が計画に携わらせて頂くことになりました。まさに一期一会です。

ただ、このご夫婦にお会いしたときから私の中では他人事ではないシンパシーのようなものがあり、時に自分がその家族の一員であるような、自分の両親のために家を建てているような、そんな気持ちにすらさせられました。



企画にはデザイナーズ賃貸で有名なタカギプランニングの名前が連ねられていますが、これは私からお願いして、費用もお支払いして企画に入って頂いたものです。

もちろん私も建築家ですから、賃貸の仕様を決めたり、デザインすることはいくらでも可能なのですが、賃貸住戸は建築家の作品ではありません。いかに市場の感覚とズレのない器を作るか、そのためには第三者にプロデュースしてもらう必要があると考えました。

今回のタカギプランニングさんのお仕事は、それは素晴らしいもので、業界をリードするプロフェッショナルの仕事というものを垣間見させて頂いたような気がします。


また山田憲明構造設計事務所、設備設計のYMOといった、有数の実力事務所と協働できたことも、今回の仕事が刺激的なものになった要因でした。

今回はいつもより規模が大きく、我々設計者の裁量も大きかったことから、外注する構造・設備事務所は妥協しないで実力のある方にお願いしたいと思っていました。

それは結果的に我々にとっても大変勉強になりましたし、蓄積にもなりました。我々が今後も大きく成長してゆくためには、協働する事務所の存在はとても大きな存在なのです。




そして何より、施工を担当して下さった辰の技術力の高さ、トータルの仕事力には本当に感心させられました。

業界の人なら肌感覚としてわかると思いますが、昨今の建設費高騰と職人不足には、肌がヒリヒリするくらいの苦労をさせられますが、そんなマネージメントも含めて、今回辰さんがいなかったら間違いなく建たなかっただろうと、現場に足を運びながら何度となく思わされました。

辰の現場事務所に行くと、壁に『日本一の建築屋になる』と標語が掲げられています。この”建築屋”というのがとても辰を体現している言葉のように思えてなりません。ツベコベ言わず、もの作りにかける真摯な意気込みのようなものを、最後までヒシヒシと感じさせてくれました。




今回は全体を通して、そんな”人”に恵まれたプロジェクトでした。こういう仕事は本当に幸せな気分にさせてくれます。

正直、まだいろいろ残工事も残っているのですが汗、早くスッキリさせて、クライアントには一日も早く落ち着いた生活を送って頂きたいと願うばかりです。私にとっては第二の実家ができたような、そんなプロジェクトでした。

1階のテナントも素敵なお店が入ると聞いています。
こちらも今からとても楽しみです!

リネストラランプと

$
0
0


台風一過の今日、一本の電話が鳴る。過去のクライアントからだ。
胸がざわつく。雨漏りかもしれない・・。大雨の後にクライアントから電話がかかってこないことを祈る、という習慣がついたのはいつの頃からだろう。もはや職業病のようなものである。

ところが違った。我々がスペックした照明器具にリネストラランプというランプがあるのだけれど、これが切れてしまい、ネットで探したのだけれど既に生産中止になっているようだ、というご相談だった。

私の表情が明るくなる。実は、リネストラランプの生産中止の報は既に受けていて、過去に使用したクライアントに迷惑をかけることのないよう、事務所で数本買い置きをしていたのだ。

あれが活きる!逆にちょっと嬉しくなってしまって、夕方に直接お届けに伺う旨をお伝えした。空いていれば車で30分の距離である。そして先ほど無事お渡しして、クライアントにも感謝され、なんだか今日は良いことをした気分で帰社した。

事務所に戻ると電気は消えていた。そんなに遅い時間じゃないのに、みんな帰るのが早いな。今日は何の日か知ってる?といっても男だけの事務所でそんなことを期待する方が野暮というもの。

女性スタッフがいた頃は、こんな日はケーキが出てきたものだと、
ふと遠い目をするのだった。

Viewing all 1481 articles
Browse latest View live